DV相談件数
通称「DV防止法」(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の制定以降、全国に配偶者暴力相談支援センターが設置されました。
この設置によってDV(ドメスティックバイオレンス)を受けていた被害者は、電話や対面での相談ができるようになりました。、
その相談件数は、年間で10万件(2014年)をこえました。
配偶者暴力相談支援センターによせられる相談内容も千差万別で、DV被害の深刻度も様々です。
そんな深刻なDV被害者が逃げ込むことができる施設、DVシェルターがあるのを知っていますか?
DVシェルターの存在
これは、正式名が「DVシェルター」というわけではなく、公的機関では配偶者暴力相談支援センターがその任を背負っています。 民間の団体でも一定の要件をみたせば、公的な資金の援助はあります。
民間の施設では、DV被害者専用で使用されている建物なのかと言えばそういうわけではありません。
例えば母子寮の一室であったり、古い旅館のような建物の一室だったり、ストーカー被害者や女性ホームレスの救済のために使ったりする施設を、兼用で使っているのが実情です。
長年、DV被害者の救済活動をしている近藤恵子さんによると、民間委託の場合、仕組みはとてもシンプルです。
DVシェルターへの公的資金は、大人1人1日7600円、子ども1人1日4000円が利用実績に応じて支払われるということです。(投稿日現在)
この金額はあくまで、被害者が滞在している期間のみ支払われるものなので、民間の支援団体の運営はとても厳しいものがあります。
DVシェルターへの入所
DV被害者がシェルターを利用するというのは、精神的にも肉体的にもギリギリまで追い詰められている状態といえます。 入所の基準はまさにその緊急性です。
あくまで一時の緊急避難的要素が強いので、基本的には2週間程度の滞在となります。
その後(退所)は、ケースバイケースですが、被害者が自立した生活を望むのであれば、公営住宅への入居を案内したりします。
更には、職業のあっせん、生活資金の確保(生活保護、児童手当など)の手続き等、様々な支援をおこなって、新しい出発の為のサポートをしてくれます。
ある被害女性の情報によると、加害者である夫が、親族を通じてプレゼントと称し、GPS付き携帯を被害者の妻に送って、その居場所を特定しようとしたそうです。
それくらいDV加害者は、病的な執念深さがあるという一例かと思います。
正にちょっとでも対応を間違えれば、生命に係わる問題に発展しかねないのがDV問題です。特に民間で支援をしている方々には、頭が下がる思いです。
DV 問題提起
最後に、DV被害者の救済活動をしている近藤恵子さんの問題提起を載せて、話を締めくくりたいと思います。
「問題は第一に、DV被害者の命を守ることが、政策の優先課題として認識されていないこと。 第二に、今ある予算と施設、人員が活用されていないことが問題です」
公的機関ばかり批判はできませんが、民間といかに連携して問題解決していくかをもっと考えていく柔軟性が必要です。
DV被害で悩んでいる方は、まず公的機関の「配偶者暴力相談支援センター」に問合せることをおすすめします。
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