以前からイギリスが、EUを離脱するという報道がされています。
はたして、イギリスはなぜEUを離脱しようとしているのでしょうか?
そして、それはいつ成されるのでしょう。この機会に、確認してみます。
EUができた経緯
EUは、European Union(欧州連合)の略称です。
EUの前には、EC(欧州共同体)という組織がありました。
ECはヨーロッパの三つの共同体が統合され、1967年に西ヨーロッパ6カ国(ベルギー、フランス、西ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ)で結成された組織です。
1973年には、イギリスも加盟しています。
その後ECを発展させるかたちで、1993年11月1日に設立されたEUは、ドイツやフランスやイギリスを中心に、当初12の加盟国で出発しました。
1995年にはオーストリア、スウェーデン、フィンランドが加わり、更にその後、東欧の国々が加盟することで、現在加盟国は、28カ国になっています。
EUでは、将来の政治的統合を目指して、各国の主権を移譲した地域的国際機関を成立させました。
欧州議会、欧州理事会、欧州委員会などがその主要機関です。
例えば欧州理事会は、国家元首または政府の長で構成される首脳会議で、最高議決機関でもあります。
EUでは通貨統合がすすめられ、1998年5月には欧州中央銀行が発足し、翌年1月1日からは通貨ユーロが導入されました。
イギリスはなぜ離脱?
イギリスはなぜEU離脱を、決断しようとしているのでしょうか。
EUという大きな枠組みに属していれば、メリットも多いはずですが、それ以上のデメリットがあれば、離脱という選択もあり得ます。
では、イギリスにとって、EUに残留するデメリットは、何なのでしょうか。
移民問題
まず一点は、移民の問題です。
以前から、アフリカや中東の人達が、政治が安定し経済的に豊かなヨーロッパに、移民としてやってきてはいました。

どれだけの移民をどのような条件で受け入れるのか、通常であれば一国の政府が決定していくことです。
しかし、EUに加盟する国の場合は、違ってきます。
EU内では人の移動は基本的に自由で、国境検査をせずに自由に動けるようになっています。 (ただし正確にはEU22カ国とEU非加盟4カ国の間。イギリスは国境検査は維持している)※参照:europe magazine
移民は当然、住みやすく景気が良い国を目指してやってきます。
その対象の国の一つがイギリスであり、イギリスが許容範囲と考える以上の移民が流入してきた時に、国民の不満が徐々に高まっていったのです。
貿易問題
もう一点は、貿易の問題です。
EU加盟の国は、独自の国で貿易交渉や貿易の取り決めをすることができません。 EU全体として、被EU加盟国との貿易交渉をおこなうことになっています。
例えば、EUは日本との間で経済連携協定(EPA)結び、昨年2019年2月に協定が発効されました。
【日本経済新聞 2019.2.1】
世界で最大級の自由貿易圏が動き出す。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が2月1日午前0時に発効。日本が約94%、EUが約99%の品目で関税をなくす。関税撤廃に加えて、電子商取引などの経済ルールも整える。日欧の企業は両地域でビジネスがしやすくなる。
日本経済新聞
28カ国を擁するEUは、マーケットが大きいので、他国とは有利に貿易交渉ができるというメリットはあります。
ただEU内の国々でも経済格差はありますし、各国によって、得意な産業や守りたい産業というのは、当然違っています。
イギリスとしては、この貿易分野でもEUのルールに縛られたくないという思いが強いのです。
EU離脱の時
イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が行われたのが、2016年6月でした。
その際の投票結果を伝える記事です。
【2020.6.25 AFP】23日に行われた欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票の最終的な得票率は「離脱」が51.9%、「残留」が48.1%となり、「離脱」が多数となった。
AFP
本当に僅差で、離脱賛成派が勝利したのです。
その国民投票から、早3年半が過ぎました。そしていよいよ、EU離脱の時がきます。
【NHK NEWS WEB 2020.1.13】
イギリスのジョンソン首相は、「われわれは今月31日にEUを離脱し、前に向かって進んでいくことになる。離脱のゴールラインを越えられないのではないかと感じたこともあったが、われわれはやり遂げた」としたうえで、「この3年間の恨みや分断を脇に置き、輝かしく、すばらしい未来に向かって取り組んでいこう。よりよい医療や教育、安全な環境などを国のすみずみまでいきわたらせよう」と国民に呼びかけました。
2020年1月31日、いよいよイギリスがEUを離脱します。

下の記事は、移行期間の手続きなどを伝えています。
【BBC NEWS JAPAN 2020.1.23】
イギリスは2016年6月に行われた国民投票でEU離脱を決定。3年半以上をへて、1月31日午前11時(日本時間同日午後8時)に正式離脱する。2月1日からは、イギリスは11ヶ月間の「移行期間」に入る。この期間はEUの法に従う必要がある一方、欧州議会などEU機関に代表は送らない。
またこの移行期間中に、イギリスとEUは通商協定や安全保障上の取り決めをめぐる交渉を終わらせる必要がある。
BBC NEWS
はたして、イギリスのEU離脱は、世界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
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