“高速道路は一方通行”、これはドライバーなら基本的に共通認識です。
【読売新聞 2020.2.11】
高速道路を8キロ逆走してパトカーに衝突する事故を起こしたとして、奈良県警高速隊は10日、兵庫県明石市の無職の男(48)を道路交通法違反(安全運転義務違反)の疑いで逮捕した。「逆走していることには気づかなかったが、パトカーにぶつかったことには間違いない」と容疑を認めているという。
「なんで逆走がおこるの?」
私も含めて、多くの人がそう思うでしょう。
正直なところ、逆走する人の感覚がまったくわかりません。
このニュースの男性は、走行中に中央分離帯に衝突して車が反転、そのまま逆走して走り続けたというのです。
「えっ、頭おかしいの?」

実はこの男性、飲酒をしていたのです。
酔っぱらうと正常な判断ができなくなるという典型的な見本といえます。
この事例はどちらかといえばレアなケースかと思いますが、もっと他の高速道路を逆走してしまう原因を調べてみたいと思います。
逆走車の発生件数
現在、逆走事故はどれくらい発生しているのでしょうか?
国土交通省の資料で確認します。

年間で、200件以上の逆走事案が発生しています。
この件数は、事故と(事故にならず)車両確保に至った件数の合計です。
逆走の原因
では、どういったケースが逆走につながるのでしょうか。
まず、原因の約6割が、IC(インターチャンジ)やJCT(ジャンクション)で、逆走してしまうケースです。
これはどういう事かというと、料金所を出てから、方面方向を見誤ったなどによって、本線からの流出ランプへ逆走してしまうパターンです。

もう一つは、分岐を通過した後、流入ランプを回っている間に方向感覚を失い、道を間違えたと勘違いして、合流部で右折してしまい逆走するパターン。
他には、目的の出口インターを通り過ぎてしまい、本線上をUターンして戻り逆走。
これが意外に多く、20%弱をしめています。
更には、サービスエリアやパーキングエリアなどの休憩施設から、走行方向を間違って逆走してしまうパターンです。

これは、案内標識や路面表示(⇒)の確認が不十分で、見落としたケースでしょう。
この辺りが主な逆走の原因ですが、年度によって20%前後の割合で、逆走理由不明というのがあります。
これは、逆走をおこす人の特性に関係があると思いますが、65歳以上の高齢者によるものが、7割弱あり、認知症の疑いによるものが、全体の4割弱もあります。

調べてみると、「なるほど、そういう理由か」と納得できますが、いざ走行中に逆走車と対面したら、たぶん血の気が引いてしまうでしょう。
高速道路で逆走車に出会ったら
では、どんな心構えで高速道路を日ごろから走行すればいいのでしょうか?
多くの逆走車は、追い越し車線を走ってくるといいます。
なぜかというと、こちらにとっては追い越し車線ですが、逆走してくる車にとっては一番左の走行車線を走っていることになるからです。

単純に考えて、追い越し車線の方が比較的、車が走行していないからということも考えられますが、そこまで考えるなら、その場に停車させてしまった方が、どれだけ事故を回避できるかと、冷静な立場だと思ってしまいます。
高速道路で逆走車情報を聞いた際は、速度を落とし、前の車との車間距離を多めに開け、左側車線(追い越し車線ではなく走行車線)を走行するようにします。
これで、事故を回避できる可能性が大きくなります。
何事においても、何かを想定して行動していると、事故や事件にあう確率を少しは下げることができると思いますが、こんな体験はしたくないですね。
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