被選挙権の年齢引き下げ議論の現状 与野党の動向を確認してみる

選挙演説・被選挙権 法律・行政関連

2016年の話ですが、民主党(当時)が野党の時に、岡田代表は記者会見で、被選挙権の年齢引き下げについての考えを明らかにしました。

【産経新聞 2016.1.5】
民主党の岡田克也代表は5日の記者会見で、衆院25歳以上、参院30歳以上と定めた被選挙権年齢を引き下げるべきだとの認識を示した。通常国会に関連法案を提出し、夏の参院選の公約にも盛り込む意向。

「衆院は20歳か18歳(が適当)ではないか。参院は一挙に20歳や18歳にするのか、中間的な数字にするか、党の中で議論していきたい」と語った。

市町村長(25歳以上)や都道府県知事(30歳以上)についても言及し、「20代の若者が知事や市長になれない、国会議員になれないというのは極めておかしな話だ」と強調した。

産経新聞

あれから4年、民主党はなくなり、野党再編が進みました。そして、長期の安倍政権が今も続いています。

この被選挙権の議論は、その後どうなっているのでしょうか。

選挙権の歴史を振り返りつつ、被選挙権に対する政治の動きを確認してみます。

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被選挙権とは?

『被選挙権』とは、議員や首長などに立候補できる権利のことで、そこには年齢制限があります。

参議院議員、都道府県知事の被選挙権は満30歳以上、衆議院議員、地方議会議員、市区町村長の被選挙権は、満25歳以上です。

この設定されている年齢は、投票日に達していればよいので、各選挙の公示・告示日の時点で、29歳・24歳でも立候補できるわけです。


『選挙権』は誰でも知っているように、選挙に投票する権利をいいます。

2016年までは、満20歳以上がその権利を持っていましたが、2015年6月に公職選挙法の一部が改正されたため、2016年6月19日(施行)以降は、満18歳以上が選挙権を有することになりました。

国政選挙では、2016年7月10日が投票日の第24回参議院議員選挙が、初めての選挙となりました。

   <公職選挙法等の一部を改正する法律 概要(総務省)

結果としては選挙権の年齢引き下げが先行しましたが、被選挙権の年齢を下げるという議論も、同様に検討されている事案であることは間違いありません。

選挙権の歴史

日本の選挙権の歴史をちょっと振り返ってみます。

最初の選挙は、1890年の衆議院議員総選挙でした。

この時は、満25歳以上の男性で一定の納税額を納めている人のみが投票できました。(最初は直接国税15円以上)

それから年々、納税額の金額が下げられ、1925年には、納税額に関係なく満25歳以上の男性が選挙権をえます。


第二次世界大戦の敗戦後は、現在と同様に、満20歳以上の男女に選挙権が与えられました。

女性の選挙への参加については、戦前から女性参政権運動が行われていて、当時は、男性からの反発・反対がかなりあったものと思われます。

被選挙権議論の現状

選挙権の年齢引き下げが長い議論の末に決まっていったように、被選挙権引き下げ議論もすでに始まっていることは間違いありません。

マスメディアは、自分達の利権に関わることではないので、早々と取りあげたりしません。

政府が自民党部会の了承を取りつけ、内閣提出法案として国会で議論される頃に、やっとマスメディアでは報道を始めるのではないでしょうか。


野党では、2016年10月の臨時国会で、日本維新の会が「被選挙権年齢18歳引き下げ法案」を、参議院に提出しました。

また民進党・自由党・社民党の野党3党も2016年11月に、被選挙権年齢を一律に5歳引き下げる公職選挙法の改正案を、衆議院に共同提出しました。

いづれも廃案になってはいます。


その後、2017年6月、自民党選挙制度調査会では、NPO法人Rightsの高橋亮平代表理事を招いて「被選挙権年齢引き下げ」について講演してもらっています。

NPO法人Rightsは、子共や若者の社会・政治参加をすすめるため、選挙権・被選挙権年齢の引き下げや教育の充実をめざして活動している団体です。

自民党の選挙制度調査会では、定期的に被選挙権年齢引き下げの議論はされています。

これは、2018年3月のツイートです。


自民党の『総合政策集2019』には、

「選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえ、被選挙権も引下げの方向で検討します。適用年齢・対象選挙は若者団体等広く意見を聴いた上で結論を出します。」

自民党政策

と書いてあります。

高橋亮平Rights代表理事は2018年2月に、アゴラにこのような記事を書いています。

これまで自民党での被選挙権年齢引き下げについては選挙制度調査会(逢沢一郎会長)のところで検討されていたが、今回の報道は政治制度改革実行本部(塩崎恭久本部長)になっている事、もう1つは、半年前の時点では2019年4月の統一地方選挙での被選挙権年齢引き下げという事だった時期が、2019年7月の参議院選挙からの導入と報道されている事です。

アゴラ

私も状況確認で、自民党の選挙制度調査会と政治制度改革実行本部の動向をチェックしてみましたが、ネット上ではそれらしき内容は上がっていませんでした。

ただ、2018年の臨時国会(10月24日~12月10日)で、立憲民主党の森山浩行議員らが、公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案を衆議院に提出しています。

この時の法律案は、被選挙権を各5歳づつ下げるという内容でした。
都道府県知事の被選挙権は満25歳以上、衆議院議員・地方議会議員・市区町村長の被選挙権は、満20歳以上です。

衆議院HPより引用

結局この法案は閉会中審査(国会閉会後にも審査を行うこと)となり、現在も継続審査中となっています。

衆議院HPより引用

公明党も以前の選挙公約で「被選挙権年齢の引き下げをめざします」と書いていました。

自民党内の水面下の議論は、すでに終わっている雰囲気なので、この国会の流れを見ると、後は政治的なタイミングで、公職選挙法の改正案が成立すると予想できます。


被選挙権年齢の引き下げをすることも、必要なことかもしれませんが、若年層の投票率の低さを考えると、選挙の意義と価値の教育を、子供達にもっと強化していく必要もあるでしょう。

更には、参議院の存在意義の議論、国会議員の定数の問題、選挙区割の見直しなど、被選挙権の年齢以上に改革が必要な問題が山積みです。


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