日韓関係は、もう行き着くところ(断交)まで行ってしまうのでしょうか。
国と国の関係においては、それくらい厳しい状況にあります。
安倍首相が、韓国人元徴用工訴訟裁判の結果を受けて、「国際法に照らしてあり得ない判断だ」と憤りました。
1965年の日韓基本条約・請求間協定の内容からすれば、当然のことです。
この一つの事案だけでも、国家間における重大な内容であるにもかかわらず、更に韓国は、慰安婦問題で日本をバカにするような方針を出しています。
【AFP通信 2018.11.21】
“韓国政府、慰安婦財団の解散を発表”
韓国政府は21日、日韓両政府の合意に基づき設立され、元慰安婦らの支援を行ってきた「和解・癒やし財団」を解散すると発表した。日本政府は韓国の駐日大使を呼び、韓国政府に日韓合意の着実な履行を求めるなど厳しい態度を見せており、日韓の関係悪化が一層深刻化するのは避けられない見通しだ。
そもそも慰安婦財団とは
報道の見出しになっている“慰安婦財団”とは、記事中にあるように『和解・癒やし財団』のことです。
日本と韓国は、国交正常化50年の節目にあたる2015年末に、安倍晋三首相と朴クネ大統領(当時)の政治決断を受けて、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的解決」することで合意しました。
その際、当時の岸田文雄外相と尹炳世外相が共同記者会見で発表した合意の柱の一つが、「和解・癒やし財団」の設立でした。
日本は、「和解・癒やし財団」に対して、10億円を捻出し、多数の元慰安婦が財団を通じて支給金を受け取っています。
韓国では2017年5月に、朴クネ政権から文在寅政権に代わったことで、この合意に対する批判がでていました。
文在寅大統領は大統領になる前も、日韓合意に対する見直しを主張していました。
すでに昨年から『和解・癒やし財団』解散の兆候はあり、理事の辞任が続いていたのです。
【産経ニュース 2017.12.30】
韓国政府が元慰安婦支援のために設置した『和解・癒やし財団』の理事8人のうち、民間の5人全員が辞表を提出していたことが30日、分かった。財団は昨年7月に金兌玄理事長を含む11人で発足し、今春2人が辞任した。5月の文政権発足後、7月には鄭鉉栢女性家族相が財団事業の点検を表明し、理事長が辞任。今回、辞表を出した5人を除く残る3人は外務省や女性家族省など政府派遣職員ら。
日韓外相共同記者会見内容
では、2015年の合意文書を確認してみましょう。
以下は、外相会談後の共同記者会見で発表された内容です。
日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,その経験に立って,今般,日本政府の予算により,全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。
具体的には,韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
韓国が財団を設立して、日本が資金を出し、元慰安婦のための事業を行うということが書かれています。
当然のことですが、当時の慰安婦の方々は高齢になっています。
例えば終戦当時18歳だったとしても、すでに90歳をこえているわけですので、人生の終盤といえます。
『和解・癒やし財団』を永遠に存続させる必要はないので、時とタイミングで、財団の解散もありえます。
それは、慰安婦に対するすべての補償や慰労が、完了したことを意味するものでなければならないでしょう。
では、今回の『和解・癒やし財団』の解散が、それに当たるのか、そこが問われるべき内容です。
財団解散の結果
しかし、先ほどのニュースにあったように、理事長を含む理事11人中8人が、今年になって辞任するという異常事態の結果、財団の解散に到っています。
また、文在寅政権から「役目を果たし終えたので解散します」という説明があって、解散したわけではありません。
日本政府が、韓国駐日大使を呼んで、真意を問い詰めているのは、その説明がない状況での解散だったことの現れです。
元々、2015年の日韓における慰安婦問題の解決には、米国の圧力がありました。
既に戦前の補償や謝罪問題は終了したと考える日本と、エンドレスに謝罪を求めてくる韓国では、歩みよれるはずがありません。
しかし、中国の露骨な覇権主義や北朝鮮の核・ミサイル問題解決のためには、日韓米の三カ国が緊密に連係していく必要があります。
日韓の間で、火種となっている(韓国が勝手に火種にしている)慰安婦問題を、解決しろという米国の強い要望により、日韓両政府が妥協の産物として、この合意がなされたのです。
それを見事に裏切った文在寅大統領です。
米国も呆れかえっていることでしょう。
まさに時代が時代なら、政府に砲艦外交を行えと、日本各地でデモがおこっても、不思議ではないような気がします。
日本全体としては、韓国とは関係を絶ちたいという雰囲気ですが、中国や北朝鮮の現状から、これ以上の混乱を米国が許さないでしょう。
米国もアホではないので、日本と韓国の主張のどちらが正しいかは、理解できます。
ただし、政治は善悪や正誤で判断されているわけではありません。
前政権の朴槿恵大統領であれば、米国からの恫喝に対してシュンとなって従いましたが、北朝鮮にシンパシーを感じている左派の文在寅大統領の場合、そうならない可能性があります。
昔から事大主義の韓国ですので、米国の締め付けが厳しくなれば、中国に迎合していく可能性もあります。
そんな東アジア情勢を見越した上で文在寅大統領が立ち回っているとしたら、腹立たしいですが、敵ながらアッパレといえます。
しかし、イソップのこうもりのような立ち振舞いは、やがて手痛いしっぺ返しがあることを、肝に命じるべきです。
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