2019年8月に小泉進次郎議員が、滝川クリステルと一緒に、メディアの前で結婚報告した際、彼女はすでに妊娠していました。
当初から、育休を取ることを公言していた小泉進次郎議員が、翌年1月の出産後、いよいよそれを実行に移します。
【時事通信 2020.2.2】
小泉進次郎環境相の第1子誕生に伴う「イクメン宣言」が、永田町でも議論の的となっている。
小泉氏は、15日に副大臣への業務委託や短時間勤務などを組み合わせて第1子誕生後の3カ月間に合計2週間程度の育休を取得する意向を表明。
小泉進次郎議員が直接、“イクメン宣言” をしたわけではないですね。
あくまで、この記事が勝手に “イクメン宣言” と書いているだけですが、今回はこの “イクメン” という言葉について考察してみたいと思います。
イクメン嫌い?
『イクメン』という言葉に対して、良いイメージを持たない(嫌いな)人が結構いるようです。
- イクメンごり押しの風潮がどうしても好きになれない
- 良い父親、良い夫を演出するためにイクメンという言葉を使いたいだけ
- 少し手伝った程度で、イクメンというのは恩着せがましい
- イクメンという言葉の軽い響きやブーム的な扱いには、抵抗を感じる
などなど。
露骨に育児してますよアピールする奴が嫌い。イクメンって言葉も嫌い。
— セカイ (@AkxlrSrLNmiN04O) February 26, 2020
2人の子どもなんだからするのは«当たり前»なんだよ。
まじで育児手伝う系勘違いイクメン滅んで欲しいですね。手伝うってなんやてめぇの子どもなんだからてめぇが育てて当たり前だろクソが。と思います👊🏻
— しの (@disneyshino) February 24, 2020
母親はやって当たり前なのに
— yummy! (@yummy11240216) March 1, 2020
父親は半分もやらないのに褒められて「イクメン」と呼ばれるのだろう?
親なんだからやって当たり前じゃん
孫より息子がかわいいのは知ってますよー
それに気付いてない旦那も自慢してくるし、あほやん
言われている意味はよくわかります。
育児は二人でするのが理想ですから、“イクメン”という言葉に反発心をもつ女性が、多くいても不思議ではありません。
そもそもイクメンとは
そもそもイクメンとは、いつくらいから使われ始めた言葉なのでしょうか?
“イクメン”とは、「子育てする男性(メンズ)」の略語です。
いつからこの言葉が使われるようになったのか調べてみると、『イクメンクラブ』という父親を中心とした人達が集まって立ち上げた団体が、初めて使った言葉のようです。
イクメンクラブのHPには、以下のような記述があります。
イクメンクラブは、父親を中心とした有志が集まって立ち上げた任意団体として、2006年末より活動を始め、2011年4月に特定非営利活動法人(NPO法人)としての認可をいただきました。
「イクメン」という言葉を生み出し、世の中に普及させることで、父親の育児参加を促し、少子化の歯止めにもしていこう! そんな社会変革を達成するために、そのプロジェクトは立ち上がっています。
<イクメンクラブについて>
代表理事は博報堂(広告代理店)の社員なので、ただの有志が集まって立ち上げた団体ではないと思います。
ただの有志ではなく、“子育てする男はかっこいい” 的なコンセプトを打ち出すために、組織した団体とみるのが自然です。 <NPO法人 イクメンクラブ>
“イクメン”が、ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に選ばれたのは、2010年のことでした。
民間の団体がコツコツと活動を続け、その言葉が世間に知られるようになったとすれば、当然のこととして受賞者は、『イケメンクラブ』となるでしょう。
ところが、授賞式に参加したのは、タレントで4児の父親であるつるの剛士でした。
イクメンの日
2011年から、10月19日は『父さん(10)、育児(19)』で、「イクメンの日」になりました。
この記念日はどこが決めているのかというと、一般社団法人 日本記念日協会です。
1991年、正式に発足した日本記念日協会では、団体・企業・個人が独自に記念日を登録したいと考えた場合、申請を受付けして、申請内容を審査後に正式に記念日として、認定しています。
「イクメンの日」を申請したのは、イクメンオブザイヤー実行委員会という組織で、実行委員長は、おちまさと氏(プロデューサー)です。
2019年10月19日にも、第9回「イクメン オブ ザ イヤー 2019」が開催され、芸人部門の山根良顕(アンガールズ)、スポーツ部門の高橋由伸(元プロ野球選手)、一般選出部門の杉浦太陽(俳優)らが受賞しました。
イクメンと厚生労働省プロジェクト
2011年から毎年行われている「イクメン オブ ザ イヤー」の後援に、厚生労働省が入っています。
「厚生労働省委託事業 イクメンプロジェクト」の特別協力を、イクメンオブザイヤー実行委員会が受けている点などを考えると、ほとんどのお膳立てを、厚生労働省がおこなっている気がします。
2010年、当時の民主党政権の長妻昭厚労大臣は、男性の子育て参加や育児休業取得の促進等を目的とした『イクメンプロジェクト』を実施してきました。
当時の広報内容の文言には、「昨今は育児を積極的にする男性『イクメン』が話題となっておりますが、まだまだ一般的でないのが現状です」とあります。
この説明からも、まだ“イクメン”という言葉やその実態が広がっていない時に、厚生労働省が先導していったのが見てとれます。
【育児を楽しむ男たちが社会へ発信!新プロジェクト始動】
こういった政府方針が先にあって、イクメンという言葉が祭り上げられていった雰囲気が、どうしても感じられます。
その結果 “イクメン”が、女性達からマイナスイメージ(嫌い)として捉えられているのかもしれません。
厚生労働省としては、男女共同参画の観点からも、育児支援の点からも今後、イクメンキャンペーンは続けていくでしょう。
<イクメンプロジェクトサイト(厚生労働省)>
イクメンは当たり前
ここでちょっと育児について考えてみます。
何事においても、制度や仕組みを作ることは大切です。これは、政治や行政がおこなうことです。
しかし、個人がその事案(ここでは育児)に対する考え方を、どう持つかという事がもっと重要です。
当然のことですが、育児は母親だけがするものではありません。父親として、育児にどう関わっていくのかを、考える必要があります。
妻子への愛情を、育児を通して自然に表現していくのが、“イクメン”としての理想ではないでしょうか。
お互い、当たり前と思ってしまう事が、人間関係・夫婦関係を、おかしなことにしてしまいます。
- 「夫が仕事をするのは当たり前」
- 「妻が子供の面倒をみるのは当たり前」
残業で帰宅が遅くなった夫が、疲れた表情や態度を見せるより先に、まず昼間の妻の子育てに対して、労いの言葉をかけたら、妻はどう感じるでしょうか。
子育てで泣きそうな一日を過ごした妻が、家族のために頑張って仕事をしてきた夫に、愚痴をこぼす前に、「遅くまで、本当にお疲れ様でした」と言ったら、夫は妻にどんな態度を取るでしょうか。
お互いが支え合い、理解しようとする心があった上で、それを支援する行政の施策があってこそ、よりその施策が生きてくるはずです。
結局、“イクメン”という言葉にとらわれるのではなく、子育てを前向きにとらえて、楽しく、夫婦・親子ともども成長していける場と考えたらよいのではないでしょうか。
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