今回、取り上げる話題は『石破茂は総理大臣になれるか?』です。
2016年10月19日、自民党の役員会で総裁任期を2期(1期は3年)から見なおすことを決定しました。
総裁任期を3期9年とする方針で、来年3月の定期党大会で党則を改正する予定になっています。
現在、総理大臣であると同時に、自民党の総裁である安倍自民党総裁の任期は、2018年9月までです。
改正前であれば次回の総裁選には立候補できなかったわけですが、今回改正がなされれば、3期目も総裁を務めることが可能になります。
もちろん総裁を決める選挙をするのですから、立候補しても別の候補に負ける可能性もあります。
この自民党総裁任期の改正(予定)で、一番割に合わないという思いを持ったのは、間違いなく石破茂議員だったはずです。
「あと1年10ヶ月で安倍総裁の任期が終わる。次こそは世論も自分に味方するはず…」と思っていたでしょうから。
2012年の総裁選
自民党が政権を追われたのは2009年から2012年の3年間で、民主党政権時の自民党総裁は、谷垣禎一議員でした。
2012年9月、谷垣総裁の任期満了にともない自民党総裁選が行われました。
通常であれば谷垣禎一議員が中心となり、その対抗馬が立って争われるのが常道でしょうが、この時には(詳細は省きます)谷垣議員は出馬できない状況に追い込まれてしまいます。
結果的に総裁選に出馬したのは、安倍晋三議員、石破茂議員、石原伸晃議員、町村信孝議員、林芳正議員の5名でした。
自民党総裁選は、地方票と国会議員票の合計票で争われます。 この時、地方票では安倍議員を圧倒した石破議員でしたが、国会議員票が伸びませんでした。
結局第一回の投票で、有効投票数の過半数をこえることができずに、安倍議員と石破議員との決戦投票に持ちこまれます。その結果は、108票対89票で安倍晋三議員の勝利に終わりました。
2012年11月の衆議院選挙で大勝した自民党は、自民党総裁=総理大臣というポジションに返り咲きました。
政権復帰を果たした自民党として安倍総裁は、党内融和をアピールする意味でも石破茂議員を自民党幹事長に起用しました。
石破茂の経歴
石破茂議員は、1957年2月4日生まれで現在59歳になります。
選挙区は衆議院の鳥取1区、当選年が1986年で、現在10期目です。
父親の石破二朗は、鳥取県知事・参議院議員を務めていたので、石破茂議員はいわゆる2世議員です。
農林水産業、外交・安全保障分野に詳しく政策通として知られ、軍事オタクと揶揄されることもあります。
現在の自民党
現在の自民党内で、次期総裁の可能性があると自他共に認められているのは、岸田外務大臣と石破茂議員です。
また「初の女性首相になるのではないか」と言われているのは、今国会で野党からの集中砲火をあびた防衛大臣の稲田朋美議員です。
稲田議員は安倍首相の信任も厚いので、小泉純一郎氏が首相の時に若手の安倍晋三議員を用いて首相への道筋をつくったように、安倍首相が次期首相として、稲田議員を育てているといってもいいかもしれません。
今回、稲田議員を防衛大臣に任命したのは、試練を与えて政治家として成長させるためと、私にはみえます。
しかも今回の自民党総裁の任期延長が実現し、安倍首相が3期目を務めるようになれば、それだけ稲田朋美議員を育てる猶予期間が長くなるのですから、願ってもないことです。 外務大臣、財務大臣、自民党幹事長など、主要ポストを経験させることも視野に入れているでしょう。
石破茂は首相になれる?
石破茂は、総理大臣になれるでしょうか?
私の個人的考えは、可能性20%といったところです。
このままの状態(世界情勢急変、国内経済失政がない前提)が続けば、2018年9月に行われる自民党総裁選に安倍総裁は、3選目の総裁を目指すでしょう。
安倍首相は、外交面では非常にうまく立ち回っています。 対中国包囲網ともいうべきアジア外交や、プーチン大統領との個人的な信頼関係構築による平和条約締結に向けた交渉など、抜かりがありません。
問題はなかなか脱却できない国内経済のデフレ問題です。ここが安倍内閣のウィークポイントです。
満腹の時に、人は不満を言いません。空腹になってくると人は、不平不満をぶつけてきます。
同様に、働いても働いても賃金が上がらず生活が楽にならない経済状態では、やがてその不満は政治に向かいます。
今までのアベノミクスは、『三本の矢』といいながら、金融政策のみが優先されてきたきらいがあります。
安倍政権で内閣参与を務める京都大学大学院教授の藤井聡氏によれば、安倍内閣中枢では現在、「デフレ完全脱却を果たすためには、財政政策を拡充することが不可欠」という認識が強まっているといいます。
この財政政策に対しての “抵抗勢力” の親玉が、最強の省庁である財務省であることを考えれば、この戦いに勝てれば、2018年9月以降も安倍首相が引き続き首相を務めることも可能です。
そうなれば、限りなく石破茂議員の総理大臣の可能性は小さくなるでしょう。
小泉進次郎議員の可能性も
安倍政権が2021年9月まで続いたと仮定すると、次の次くらいには、「小泉進次郎議員を首相に」という声が上がってきてもおかしくありません。
1981年4月生まれの小泉進次郎議員は、2021年に40歳になります。
オバマ大統領は48歳で大統領に就任しましたし、カナダのジャスティン・トルドー首相は43歳で首相になりました。イタリアのマッテオ・レンツィ首相は、39歳の時に首相になっています。
このように世界主要国で40代のトップが誕生している現在、小泉進次郎議員が近い将来に首相になっても何ら不思議ではありません。
石破茂議員にとっては、2018年がある意味勝負の年になるでしょう。
政治の世界は、『一寸先は闇』と言われるように何がおこるかわかりません。世界経済の影響、天災、病、スキャンダルなどなど、何が政権基盤を揺るがすか予想できません。
首相になりたくてもなれなかった人、その時の政治情勢で“棚ぼた”的に首相になった人、様々です。
石破茂議員にとっては、多少他力本願的な要素に頼らざるえない状況ですが、今はまさに忍耐の時でしょう。
「次期総理に石破茂」の声(追記)
この記事を書いたのは、昨年の11月でしたが、およそ9カ月経って政局が大きく変わってきました。
マスメディア&野党&官僚の『森友問題』『加計学園問題』攻勢で、安倍政権が苦境に立たされ、今月8月の内閣改造で何とか今、安倍首相は一息ついたところです。
将来の女性首相として期待をかけていた稲田朋美議員は、防衛大臣を辞任に追い込まれ、しばらくは自民党内で下積み生活を送らなくてはならない存在になってしまいました。
女性が防衛大臣を務めることは簡単ではないことを、良い教訓としていかなければならないでしょう。
今回の内閣改造で、安倍内閣支持率は多少アップしましたが、時事通信がおこなった(8/3~6日に実施)次期首相にふさわしい政治家のトップは、安倍首相から石破茂議員に変っています。(安倍首相14.4%、石破茂18.0%)
あれだけ叩かれたのに、まだ安倍首相が2位というのも不思議な気がしますが。
時事通信や各新聞社が行う世論調査には、対象人数の問題や聞き方の問題など色々指摘されてはいますが、全体の国民への影響力はまだまだ大きいです。
ただ、インターネットでの声はガラリと変わります。 例えば、ツイッターで「石破茂 総理」と入力して検索してみます。
取りあえず直近のツイートから30ツイートくらい見てみましたが、石破茂が総理大臣になることに9割以上が反対しています。
ダメ、ゼッタイ!増税原理主義者を次期首相にしてはなりません。
— ユミ ニッシー (@yumikosiorin) August 13, 2017
「消費増税、反アベノミクス」石破茂の総理への野望を阻止せよ!https://t.co/KUsjOJfj6b
産経新聞7月17日が「加計潰しに」奔走していた獣医師会と、「次の総理」を狙っている『石破茂』の癒着をスクープした。加計学園に獣医学部が決まる前に決まった、いわゆる『石破4条件』こそ、獣医師会との癒着の産物だと、又。政権与党だった民進党の議員達も獣医師会から多額の献金を貰っていた。
— 尊敬西郷隆盛公 (@chapel_rdai) August 11, 2017
上のツイートにもあるように、石破茂議員が獣医師会とつながりが強く、実際に100万円の献金を受け取っていたのは、ネットでは常識化していますが、テレビではほとんど放映していません。
それが、ネットの声と時事通信社がおこなう世論調査の違いとして表れています。
上の資料は平成27年のものではありますが、年代別のツイッターの利用率をみれば、若い世代の声が石破茂が総理大臣になることに反発が大きいということが明らかです。
60代以上の人達に、もっとインターネットの情報が伝わっていった時に、果たして石破茂議員は、時事通信の世論調査の結果のように、次期総理大臣候補としてトップになることができるでしょうか。
【関連記事】⇒『石破茂の韓国への認識は? 過去の発言から確認してみる』
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