自民党総裁選で鍵をにぎる党員票 どんな人が党員になるのか確認してみる

政治・経済関連

自民党総裁選挙は、自民党所属の国会議員一人一票と国会議員同数の票が自民党党員・党友の票としてカウントされ、総得票で争われます。(2021.9月現在)

例えば、自民党国会議員が400人(票)いれば、党員・党友の票は400票ということになり、合計800票を総裁選で獲得し合うことになるのです。 ※2021年9/20現在の自民党国会議員数382人

では、どんな人が自民党党員になるのでしょうか。

自民党の政策に賛同して自民党党員になる人ももちろん存在するでしょうが、その多くは国会議員や地方議員、関係団体の組織を通じて、議員の支援という形で党員になる人がほとんどです。

自民党党員になるための手続きは、各支部経由で申し込むことになっています。

Sponsored Link

自民党党員目標

自民党全体では近年『党員数120万人』を目標として、各国会議員に最低1000人の党員達成のノルマを課しています。

2021年3月に開催された自民党大会では、党員獲得国会議員ベスト10が発表され、トップは二階俊博幹事長でした。

どんな組織でも同じでしょうが、結果を残しやることをやっている人の影響力は大きいということです。

【産経新聞 2021.3.21】
自民党の小野寺五典組織運動本部長は21日の党大会で、党所属国会議員の昨年1年間の党員獲得数ランキングを発表した。
トップは二階俊博幹事長(和歌山3区)だった。

2位以下は、堀内詔子衆院議員(山梨2区)▽森山裕国対委員長(鹿児島4区)▽鷲尾英一郎外務副大臣(新潟2区)▽茂木敏充外相(栃木5区)▽野田毅元自治相(熊本2区)▽畦元将吾衆院議員(比例中国)▽中曽根康隆衆院議員(比例北関東)▽寺田稔総務副大臣(広島5区)▽青山繁晴参院議員(比例代表)。

自民党の昨年1年間の党員数は113万6445人で、前年比で5万147人増え、自民党が政権を奪還した平成24年以降で最多になった。

前年比で5万147人増えたと記事には書かれていますが、その要因の一つは以下によるものと思われます。

【産経新聞 2020.6.3】
自民党は、1人当たり年間千人の党員獲得ノルマを今年達成できなかった議員について、次期衆院選では比例代表名簿に登載しない方針を固めた。小選挙区の候補者は名簿に載らないと、比例代表で復活当選する可能性が閉ざされる。

2018年の党大会では、ベスト10だけではなく、ワースト10も発表されています。

武士の情け(?)でしょうか順位までは発表されず名前だけ読み上げられましたが、その中には比例復活した議員が3人いました。

東京1区の山田美樹議員と東京6区の越智隆雄議員、それに東京21区の小田原潔議員です。まさに党員拡大が死活問題になりますので、3人の陣営は相当頑張ったに違いありません。

自民党党員の一例

自民党員になる事例としてこんな話もあります。

沖縄県の下地幹郎衆院議員は自民党復党を目指しています。
下地議員は、2005年に自民党を離党し、国民新党や日本維新の会に所属後、現在は無所属で活動しいます。

昨年10月に、下地議員は沖縄自民党県連へ復党願を提出しましたが、県連からは拒否されています。そこで、下地議員は県連に対して、“別のアプローチ”をしてきました。

【沖縄タイムス 2021.6.10】
下地幹郎衆院議員の自民党復党を求める企業グループが県内で新規党員約4800人を集め、党本部に報告した。県内の党員が約8千人にとどまる中「驚異的な規模」(県連幹部)の党員を手土産に、復党を迫った形だ。一方、復党に反対する県連内からは「一人一人、自民党の政策への理解を得たのか。企業の力業で露骨過ぎる」と不快感が広がった。
県連関係者は今回の下地氏側の動きに不快感を示しつつ「復党の可能性は高まっただろう」と認める。

自民党員になる人の一例でしょう。


各都道府県自民党支部においても、党員獲得目標を掲げています。

例えば、愛知県支部においては、党員獲得目標を『6万人』とし、平成30年度在籍党員数52,716人を獲得しています。

ちなみにこの数字は、全国で上位3番目の獲得数でした。(愛知県連大会の報告)


こういった各都道府県支部の目標達成のためには、都道府県会議員や市区町村議員にも、それなりの目標やノルマが課せられていることは想像できます。

自民党から公認をもらって選挙に出馬するためには、一定の党員獲得が義務付けられているはずです。

実際、私の知り合いでも、地元の自民党新人地方議員立候補者(2019年当選)から依頼を受け、自民党党員になったと言っていました。

党員獲得をめぐっては、実績を上げるために、関係団体や議員が党費を肩代わりして党員を集めていた事例がたびたび報じられています。

以下は、自民党の議員ではありませんが、直近のニュースとして報道された内容です。

【京都新聞 2020.10.13】
日本維新の会の森夏枝衆院議員(比例近畿)の事務所が、2018年度と19年度に党員延べ99人の党費約20万円を肩代わりしていたことが12日、森氏や関係者への取材で分かった。
森氏は違法性を否定した上で「管理がずさんだった」と釈明している。

党勢拡大の実績をアピールするためでしょうか、自民党議員にも党費を肩代わりする議員がいます。

【産経WEST 2015.9.19】
神戸市議会の会派「自民党神戸」による政務活動費(政活費)の不正支出問題で、市議会が連休明けにも、虚偽公文書作成・同行使罪で、被疑者不詳のまま兵庫県警に刑事告発する方針を固めたことが18日、分かった。
自民党神戸に所属していた長瀬猛市議が、勧誘した自民党員らの党費計16万4千円を、会派から渡された裏金で肩代わりしていたことを認めた。
党員には同じ選挙区内の有権者も含まれ、公職選挙法に抵触する恐れがある。

自民党党員の詳細な実態はわかりませんが、100万人を超える党員の大多数は、純粋に自民党議員を応援する意味で党員になったと信じたいです。


【関連記事】⇒『総裁選挙 議員票と地方票の比率や仕組みを調べてみた

コメント

タイトルとURLをコピーしました