北朝鮮のミサイル発射は国連決議の何に違反するのか?

国連決議 政治・経済関連

5月14日の早朝に、北朝鮮がミサイル発射を行いました。

米国からの度々の警告、空母派遣による威嚇にもかかわらずミサイル発射を行った北朝鮮に、怒りをおぼえる人も多いことかと思います。

北朝鮮が核実験やミサイル発射実験を行った際に、マスメディアで『国連決議違反』という文字をよく見かけます。

果たして、北朝鮮は国連決議の何に違反しているのでしょうか?

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北朝鮮ミサイル発射

5月14日に発射されたミサイルは、およそ800㎞飛んで日本海に落下しました。

菅官房長官は、当日午前の記者会見で以下のように述べています。

<北朝鮮による弾道ミサイル発射事案について>

発射された弾道ミサイルは、約30分の間、約800キロメートル飛び、朝鮮半島東約400キロメートルの日本海上に落下したものと推定をされます。落下したのは、我が国の排他的経済水域(EEZ)内ではないものと推定されます。

同じ民族である韓国の新しい文在寅大統領が誕生して、初めてのミサイル発射です。

4月29日にも、途中で爆発した(させた?)とはいえ、ミサイル発射を行っています。

北朝鮮のミサイル開発の歴史

北朝鮮がミサイル開発を始めたのは、1980年代のことです。

エジプトから短距離弾道ミサイルを入手した北朝鮮は早速、研究・改良を加えて、1993年に初めてミサイル発射実験を行いました。

それから徐々にミサイルの飛行距離を伸ばし、2016年までに10回をこえるミサイル発射実験をおこなっています。

現在、日本列島は当然射程距離に入りますし、米国のグアム島をも射程に入れたといわれています。

更に問題視されているのは、北朝鮮がミサイルの飛行距離を伸ばし、ハワイや米国本土まで、ミサイルを着弾させることができる技術の開発を、進めているかという点です。

今回のミサイル発射に対して、海上自衛隊の元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は、

「米ソ冷戦時代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は射程1万キロで、飛行時間が30分だった。一般論で考えれば今回のミサイルはICBMと同じ程度の能力を持っていると考えてもおかしくはない。6000キロ程度飛ぶ可能性が否定できない」 【毎日新聞2017.5.14】

と言っています。

この距離は、ハワイまでは届きませんが、グアム(北朝鮮からの距離約3400㎞)までは十分届く距離です。

現在の米国の軍事的対応は、米国にとって北朝鮮のミサイル開発が、もうすでに対岸の火事ではなくなっている証左といえます。

ミサイル発射の何が国連決議違反?

たび重なるミサイル発射実験に対して、国際連合安全保障理事会では2006年、北朝鮮に対する決議1695を採択しました。

安全保障理事会とは、常任理事国5ヶ国(米、英、仏、露、中)と国連総会によって選出された10ヶ国の非常任理事国によって構成されています。

『国連決議1695』は、北朝鮮が弾道ミサイルを複数回発射したことを非難するもので、加えて弾道ミサイル計画に関わる全ての活動の停止を北朝鮮に要求する内容になっています。

続けて同年2006年10月には、北朝鮮が核実験を行ったことに対して国連決議1718が採択されます。

『国連決議1718』では、いかなる核実験又は弾道ミサイルの発射もこれ以上実施しないことを要求するとともに、核兵器及び既存の核計画の完全な放棄を求めました。

更には、『国連決議1695』にはなかった具体的な「制裁」行動が盛り込まれていました。

2009年には『国連決議1874』を採択しています。この決議は、北朝鮮が2度目の核実験を行った際に採択されたものです。

度重なる国連の決議にもかかわらず、北朝鮮はその国連をあざ笑うがごとくに、核実験やミサイル実験をその後も行っています。

ただ、北朝鮮の弾道ミサイルや核が、米国に対して直接の脅威となる段階まできたという事実がある以上、もう米国も黙っていないでしょう。

「口で言ってもわからなければ…」 そういう時が近づいているかもしれません。


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