レバノンと日本の国交関係について確認してみる

レバノン・デモ 政治・経済関連

日産自動車の元CEO(最高経営責任者)、カルロス・ゴーン容疑者が日本から国外逃亡して、すでにおよそ3週間が経ちました。

逃亡先は、レバノンです。

国外逃亡したのが12月29日夜、レバノンの首都ベイルートで記者会見をおこなったのが、1月8日でした。

当初この記者会見でゴーン容疑者は、自身の逮捕・起訴に関与していた日本政府の関係者の実名を挙げ、その不当性を主張する予定だったといいます。

【NHK NEWS WEB 2020.1.7】
アメリカのFOXビジネスは6日、レバノンに出国した、日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告に週末に直接、取材したことを明らかにしました。

この中でゴーン元会長は、東京地検特捜部による逮捕について、日産の会長から失脚させる社内のクーデターだったとしたうえで、それを示す証拠があると述べたということです。

そして、みずからの逮捕・起訴の背後には日本政府の関係者もいたとみられるとして、8日に予定される記者会見では、数人の実名を明らかにする方針だということです。

しかし、事前に日本の外務省がレバノン政府に交渉(アウン大統領に在レバノン大久保大使が面談)したため、ゴーン容疑者が記者会見で、そのことにふれることはありませんでした。

【JIJI.COM 2020.1.8】
大久保武駐レバノン大使は7日、アウン大統領とベイルート近郊の大統領府で会談した。

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告のレバノンへの逃亡について「不法に出国し、誠に遺憾だ」と表明。「わが国として到底看過できるものではない」と伝え、事実関係の究明を含めた必要な協力を正式に要請した。

日本政府のレバノン政府への圧力が、多少なりともきいた証左ではあります。

正直なところ、私は日本とレバノンとの関係について、あまりよく知りません。
この機会に、両国の関係を、ちょっと調べてみたいと思います。

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レバノンの概要

レバノンの正式名称は、レバノン共和国です。
国の位置を確認してみましょう。

人口はおよそ610万人、国土の広さは10,452平方キロメートルで、日本の岐阜県とおよそ同じ大きさです。

政治体制は共和制で、元首は選挙で大統領を選出しています。

地図でわかるように、国の南部がイスラエルと接しているため、レバノン内のイスラム組織ヒズボラ(ヒズボッラー)とイスラエルの間に紛争が絶えません。

レバノンの主な産業は、金融業・観光業・食品加工業などで、中東の国では珍しく地中資源がほとんどありません。

日本とレバノンの関係

では、日本とレバノンは現在、どのような国同士の関係にあるのでしょうか。

日本にレバノンの公使館が開設されたのが、1954年です。

日本との貿易は、日本への輸出が約20億7千万円で、日本からの輸入が約383億円(2018年)ですので、それほど多いとはいえません。

1970年代には、1500人を超える日本人がレバノンに住んでいました。
しかし、1975年のイスラム教とキリスト教マロン派の内戦で、多くの日本企業はレバノンから離れてしまいました。

外務省のレバノン基礎データによると、現在の在レバノン日本人は104人(2017年10月現在)ということです。

また、法務省では日本在住のレバノン人の数を、207人と発表しています。(2018年12月現在)

自民党部会で外務省が示した内容によると、内戦が続き、イスラエルの侵攻や隣のシリアからの難民が押し寄せるなど、混乱が続くレバノンに対して日本は、2012年以降、総額約2億1千万ドルの支援をおこなっているということです。

主な支援分野は、水・衛生、保健医療、廃棄物処理、地雷除去、食料、教育支援などです。


日本とレバノンとの間に、犯罪者引き渡し条約は結ばれていませんので、レバノン政府がゴーン容疑者を日本に強制送還することはないでしょう。

ただ、日本政府が思った以上に強い姿勢で対応してきていることに、レバノン政府も戸惑っている可能性はあります。

一人の人物のために、二国間の友好が棄損されないことを望みます。

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