第48回衆議院議員選挙が終わりました。
選挙の結果としては、自民党安倍内閣の信任という側面があり、小池百合子旋風の終息、新党・立憲民主党の躍進という内容になったといえます。
今回の選挙では、公示前にバタバタと新党が作られ、多くの人が「政党っていったい何なの? こんなのでいいの?」と思ったのではないでしょうか。
今回、議席数が3倍以上となった立憲民主党は、はたして今後どんな政党として、国政に影響力を発揮できる存在となっていけるのか、見ていきたいと思います。
立憲民主党設立の経緯
立憲民主党設立までを時系列でみてみます。
安倍晋三首相が臨時国会の冒頭で衆議院の解散を宣言したのが、9月28日でした。
その日の午後に民進党は、両院議員総会を開き、次の総選挙前に希望の党へ合流することを前原誠司代表が提案し、満場一致で了承されます。
ところが、その翌日の29日午前に行われた小池百合子と前原誠司の会談の後、小池百合子希望の党代表から、あの言葉が飛び出します。
そう、「(民進党議員)全員を受け入れる考えはさらさらない」と発言したのです。
その後も小池百合子代表は、「(安全保障・憲法観といった根幹の部分で一致しない人は)排除いたします」という言葉を使い、民進党議員当事者のみならず、国民からもその棘のある言葉に、嫌悪感を持たれてしまいました。
結局、小池新党(希望の党)が掲げる政策を受け入れるはずがない元社民党・左派系議員は、大同団結していこうと、枝野幸男が中心になって、新党の結成の動きを加速させました。
立憲民主党を立ち上げた枝野幸男代表が、記者会見を行ったのは、10月2日でした。
立憲民主党への二つの意見
この立憲民主党に集ったメンバーに対しては、主に二つのとらえ方がありました。
一つは、『主義主張を貫いた』と肯定的にとらえる人達です。
支持政党が、どうこうという垣根を超えて、枝野氏の演説はリベラルの常道を貫いた立派なものでした。
— satoshi shimada (@maruomaruo) 2017年10月14日
今まで政治とか選挙とか、あまり興味も関心も無かったけど、枝野さんには期待したい。今回唯一ブレず流されず、スジを通して己の信を貫いた、唯一の政治家だと思います。
《枝も 栄えて 葉もしげる》
頑張って下さい。枝野さん#枝野立つ
— 龍哉 (@gx71towton) 2017年10月4日
一方で、『小池百合子に足蹴にされてやむを得ず新党を作っただけ』という厳しい意見もあります。
立憲民主党は筋を通したのではなく、希望に入れなかっただけ。
菅直人:小池さんを日本のメルケルに
辻元清美:私は保守の議員と仲がいい
野田佳彦:希望の党から立候補するて言っていたじゃん。枝野さんも移籍する気だったし。石原さんも息子が頑張っているのに何言っているんだろうね。
— たぬちゃん@朝日新聞廃刊 (@TonTonDonburi) 2017年10月16日
枝野氏が「筋を通した」というが、踏み絵を踏んでノコノコと希望に入った輩と比較して「まし」なだけで本質的には同類。枝野氏は「全員希望で公認を受けられる」との前原代表の言葉を信じて民進の実質解党に賛同した。「排除」された結果新党を立てただけのこと。筋など一つも通してはいない。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2017年10月17日
立憲民主党は枝野、菅、福山、そして辻元など民進党のバリバリ左派。なんだか小池さんの排除と言う言葉に過剰反応した人達がこの面々を男気がある、志を貫いたなどと持ち上げ支持率が高いようだか、あのどうしようもない暗黒の三年三ヶ月民主党政権時の中枢メンバーだという事をお忘れなのか?
— 雷鳥2号 (新) (@raichoexp_2) 2017年10月18日
言われてみれば、確かにそういえます。
長年議員活動をしていれば、小池百合子という政治家の主義主張がどういうものか、理解しているはずです。その小池百合子が代表を務める政党であれば、どんな政策を柱にするかは、ある程度予測がつきます。
それでもなお、希望の党へ合流するということであれば、主義主張を変えるか、もしくは『軒を借りて母屋を乗っとる』を実行に移す時がくるまで、小池百合子人気に乗っかろうとするかのどちらかでしょう。
当然、主義主張を変える人達ではありませんから、小池百合子を利用しようとしたと考える方が自然です。
ところが、世間一般では、前者のように『主義主張を貫いた』と、とらえる人が多かったようです。
それが、立憲民主党の当選者54名という結果につながりました。
枝野幸男代表の街頭演説は、ご覧のような人気ぶりです。今までの民進党・枝野幸男では、こうはならなかったでしょう。
立憲民主党の今後
野党第一党となった立憲民主党は、今後どのように安倍政権と対峙し、また党勢を拡大していくのでしょうか。
安倍政権に対しては、基本的には民進党当時と同様のスタンスで、相対していくと思います。
立憲民主党は、民進党内の保守的な議員がすっぽり抜けた党ですので、ブレーキがきかなくなった車のように、左系化していくのが自然な流れです。
ただ今までのように、反対の為の反対をしていたのでは、「何だ民進党と何も変わらないじゃないか」と、国民からソッポを向かれます。
もちろん政権を取る意欲がなければ、ある一定の支持層を維持することは可能です。
共産党ですら(失礼)、多少党員の減少や高齢化の問題はあったとしても、今回の総選挙では全国で約440万票(比例)を獲得しています。(全体合計約5576万票)
その辺りの舵取りを枝野幸男代表がどうとっていくのか、その手腕はまだ未知数です。
党勢の拡大という点ではどうでしょうか。
すでに希望の党や無所属で当選した議員の中に、立憲民主党に対して、秋波を送る人も見受けられます。
また民進党の参議院議員の中には、今まで同じ党内で政治活動してきた仲なので、一日でも早く合流したいと思っている議員も多いはずです。
選挙中に、民進党参議院議員会長の小川敏夫議員が、「やむを得ず希望の党に行った人もいるので戻ってもらい、大きな器となりたい」と言ったことで波紋が広がったので、枝野幸男代表もある程度慎重にことを進めるでしょう。
実際、枝野幸男代表は両院議員総会で「永田町の数合わせにコミットしていると誤解されれば、期待はあっという間にどこかに行ってしまう」と賢明な意見を述べています。
しばらくは様子見で、徐々に同志の入党を認めていくというのが、現実的な対応かもしれません。
特に今回は、希望の党が短期間で浮き沈みするのを目の当たりにした訳ですので、枝野幸男代表も言動には細心の注意をはらうでしょう。
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