毎月発表される内閣支持率。
その度に「前回より○○ポイントの落ち込み」「今回は△△が評価され支持率上昇」などとマスメディアでは報じています。
政権サイドも「内閣支持率に一喜一憂しない」といいつつ、内閣支持率という“世論”の顔色を、うかがっています。
長期政権となっている安倍政権でも、大臣の資質や辞任の問題、モリカケ問題、そして現在野党が必死で追及している桜を見る会の問題と、その度に内閣支持率に大きな影響を与えてきました。
ただ内閣支持率と一口に言っても、調査している機関は様々あり、その数値も結構違っていることが多いです。
その辺りを理解した上で内閣支持率を論じないと、私達は、○○%という数字に踊らされてしまいかねません。
内閣支持率の世論調査について、どのような機関が、どんな方法で調査した数字なのか、ちょっと詳しく調べてみましょう。
内閣支持率の内容
テレビやラジオなどのニュースでは、「○○の調べによりますと、内閣支持率は~。」と言っているのに、気がつきます。
はたして、毎度毎度伝えられる内閣支持率を出している機関は、どういったところがあるのでしょうか。
そして、どれだけの人数を対象に、どのような調査をおこなった結果が、内閣支持率として発表されているのでしょう。

世論調査をおこなっている主な機関は、NHK、時事通信社、共同通信社、日経リサーチ、朝日新聞社、毎日新聞社、FNN(フジニュースネットワーク)といったマスメディアです。
内閣支持率の世論調査は、時事通信社以外、電話で調査をおこなっています。
コンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける『RDD』という方法で調査しています。
『RDD』とは、「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略称です。
質問は単純に、「あなたは○○内閣を支持しますか、支持しませんか。」という内容です。
時事通信社は昔から電話調査ではなく、個別面接聴取法をとっています。
以下に、各社の世論調査についての説明を載せておきます。
FNNでは、「全国から無作為抽出された満18歳以上の1,000人を対象に、電話による対話形式で行った」と載せています。
別な記事では、「RDD方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った」と書いてあります。
内閣支持率の比較
では、2020年1月から2月の内閣支持率を比較してみましょう。
機関名 | 支持率 | 調査人数(回答数)・回答率 | 調査期間 | 調査方法 |
NHK | 45% | 2170人(1252人)・58% | 2/7~9日 | RDD |
朝日新聞社 | 39% | 2/15~16日 | RDD | |
共同通信社 | 41% | (1029人) | 2/15~16日 | RDD |
日経リサーチ | 48% | 2401人(992人)・41.3% | 1/24~26日 | RDD |
読売新聞社 | 47% | 2060人(1073人)・52% | 2/14~16日 | RDD |
FNN | 44.6% | 1/11~12日 | RDD | |
時事通信社 | 38.6% | 2000人・61.1% | 2/6~9日 | 個別面接 |
調査期間が統一されていませんので、単純な比較ができませんが、どこの世論調査でも、『桜を見る会』の疑惑問題の影響で、昨年12月以降下がってしまった支持率は、2月になっても回復していません。
興味深いのは、RDD方式と個別面接方式の違いです。読売新聞社と時事通信社の調査を比較すると、調査方式によって10%近い差が出ています。
面接方式ですと、現政権を支持していると、面と向かって言いづらいのでしょうか。
同じ時期の調査であるにも関わらず、読売新聞社と朝日新聞社の結果に8%の差があることも、見逃せない点ではあります。
内閣支持率で一喜一憂?
今回、内閣支持率の世論調査を調べてみて以外だったのが、どの会社もこの調査に関しては、できるだけ公平におこなおうとしている点でした。(公表していない部分もあるでしょうから、説明を鵜のみにはできませんが)
ただし、毎月おこなう必要性があるかという点においては、疑問を感じます。
2016年から2017年にかけて各社は、固定電話のみの調査から、固定電話と携帯電話にかける調査へと変更していきました。
それまでは、内閣支持率の世論調査に対して、「マスメディアからの情報しか知らない年配者が出る固定電話の世論調査は偏っている」という意見が、よく出ていました。
あくまで個人的に思うのは、内閣支持率の高低で一喜一憂することが、いかにバカらしいかということです。
半年に一度で十分
これだけ頻繁に内閣支持率が発表されると、政権としてもその数字を気にせざるをえません。
政権が、支持率という国民の意思を尊重するのは当然とする考えもあるでしょう。
一方、その数字が果たして、本当に国民の意思を反映した、妥当なものかという点も重要です。
マスメディアから流されるのは、主に政権批判です。権力の監視機関を自認するマスメディアからすれば、当然のことかもしれません。
支持率の変動を気にするあまり、政権が大衆迎合主義に走ってしまわないかという心配もあります。
また野党は野党で、内閣支持率の低下をねらって、国民感情をあおるような政権批判や、閣僚のスキャンダルや失言ばかりを取り上げる戦略をとってきます。
マスメディアの報道の仕方によっても、内閣支持率に大きな影響が出ることは間違いありません。森友・加計学園問題はまさに、その典型です。
国会議員が真相究明と称して、被告人となっている人物から、何の実証もえられない証言をとる様子をテレビが映す、これには呆れ果ててしまいました。
以上のことから考えると、内閣支持率の世論調査は、半年に一度のペースで行うくらいが、ちょうど良いのではないかと私は感じます。
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