ローマ字の名前表記がやっと「姓」「名」の順番になるという話

世間の話題・雑記

後だしジャンケンのようですが、私は前々からおかしいと思っていました。

なぜ、日本人が英語で名のる時に、姓名を逆にして言うのかと。

日本語で外国人を紹介する時に、「優勝したウッズ・タイガーさんです」とは言いません。
あくまで、タイガー・ウッズなのです。

チャイナや韓国でも、自分を英語で言う時には、姓名の順番で名のるのに、日本だけが逆さにして言うのは、おかしいですよね。

【時事通信 2019.10.25】
政府は25日、国が作成する公文書で日本人名のローマ字表記を原則として「姓-名」の順にすることについて、具体的な表記対象として行政機関の外国語ウェブサイト、外国語の書簡や相手国に日本の立場を説明する資料などで用いることを申し合わせた。

萩生田光一文部科学相が同日の閣議後の記者会見で発表した。来年1月1日から実施する。

勝手な想像ですが、英語を学んだ先駆的な日本人が「英語では、姓と名前を逆に言わないといけないんだ」と言い始め、それが今日まで続いてしまったような気がします。

文部科学省のサイトにはこう書かれています。

「日本人の姓名をローマ字で表記するときに、本来の形式を逆転して「名―姓」の順とする慣習は、明治の欧化主義の時代に定着したものであり、欧米の人名の形式に合わせたものである。」


新しい令和の時代を迎え、日本全体で方針転換する良い機会です。

【時事通信 2019.9.7】
日本人名のローマ字表記をめぐり、政府内の論争に6日、決着がついた。

河野太郎外相や柴山昌彦文部科学相が「姓-名」順を推奨したのに対し、他の閣僚は当初、「長いことやってんだろ」(麻生太郎副総理兼財務相)などと冷淡だった。

決め手になったのは文化庁の国語審議会(当時)が2000年に出した、姓-名順が「望ましい」との答申とみられる。

麻生さんの「長いことやってんだろ」、印象的な言葉です。

年を重ねると、ついついその類いの言葉を言ってしまいがちです。

「今までそうだったから」
「わざわざ変えなくてもいいんじゃない」

変化を恐れると進化できません。どんな分野でも、世代交代が必要な大きな理由でしょう。

記事を信じれば、2000年に出された答申が決めてということです。それにしても、だいぶ前の答申ですね。

ちょっと長いですが、文章を載せてみます。

国語審議会答申「国際社会に対応する日本語の在り方」(平成12年12月8日)
<姓名のローマ字表記についての考え方>

世界の人々の名前の形式は,「名―姓」のもの,「姓―名」のもの,「名」のみのもの,自分の「名」と親の「名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり,それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものである。

世界の中で,日本のほか,中国,韓国,ベトナムなどアジアの数か国と,欧米ではハンガリーで「姓―名」の形式が用いられている。

国際交流の機会の拡大に伴い,異なる国の人同士が姓名を紹介し合う機会は増大しつつあると考えられる。

また,先に記したように,現在では英語が世界の共通語として情報交流を担う機能を果たしつつあり,それに伴って各国の人名を英文の中にローマ字で書き表すことが増えていくと考えられる。

国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。

したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓―名」の順(例えば Yamada Haruo)とすることが望ましい。

国語審議会答申

「英語圏の人には理解してもらえるの?」と心配する声もあるようですが、それに対しては以下のように述べています。

「従来の慣習に基づく誤解を防ぐために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓―名」の構造を示すことも考えられよう。」

国語審議会答申

およそ20年前の答申を根拠にしないといけないのかという疑問は残りますが、結果として見直しされるのであれば、良しとしましょう。

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