職場で、パワハラを受けた経験はありますか?
そもそもパワハラとは、パワーハラスメントの略で、職務上の地位や優位性を利用した嫌がらせ行為のことです。
言葉自体は、和製英語です。
ちょっと回りくどい表現かもしれませんが、厚生労働省ではパワハラを
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」
厚生労働省
と定義しています。
パワハラは、前々から耳にしていた言葉かもしれませんが、この社会問題に対してやっと『パワハラ防止法』ともいうべき法律の改正がおこなわれました。
この機会に、パワハラの法改正の内容について、確認したいと思います。
パワハラの種類
パワーハラスメントは、学校でのいじめのようなものともいえますが、自分の優位性を理解し、相手が反抗しずらいことを見越した上での行為ですので、子供のいじめよりもっと悪質で卑怯な行為です。

厚生労働省では、「パワハラは6つの種類がある」としています。
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
厚生労働省
2.精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(遂行不可能なことの強制など)
5.過小な要求(程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)
暴力や脅迫などは論外ですが、『過大・過小な要求』の範囲を線引きするのは、案外難しいケースではあります。
どういった状況で行われたのか、またはそれが継続して行われたのかなども考慮する必要があるでしょう。
また、人によって、パワハラとしての感じ方に、違いもあると思われます。
パワハラ実態調査
厚生労働省が平成28年(2016年)に、パワハラの実態調査をおこないました。
その4年前にも、同様の調査がおこなわれています。
以下のグラフは、企業がパワハラ予防や解決のための取組みを、どれだけ行っているかを表したものです。

4年前と比較すると、多少前向きにパワハラ対策に取組む企業が増えているものの、まだまだ十分とはいえません。
特に従業員が少ない99人以下の零細・中小企業においては、7割近くの企業が、パワハラ対策をほとんど行っていないことがわかります。
企業によっては、その行為がパワハラではなく、“業務上の適正な範囲”ととらえている場合もあるでしょう。
また、体育会系感覚の職場では、そもそもパワハラ概念自体が、薄いともいえます。
では実際に、パワハラを受けたと感じた場合に当事者は、どんな行動をとったのでしょうか。

意外に多いのが、「何もしなかった」と答えている人の割合です。
パワハラ対策を積極的に取り組んでいる企業の社員でも、41.8%という多さです。
言っても無駄と思っていたのか、そのうち部署変えや上司が変わるだろうと考えていたのでしょうか。
パワハラを我慢はNG
パワハラに対して一番良くないのは、ただ我慢することです。
もちろん自分自身のストレスにもなりますし、パワハラをしてくる上司をつけあがらせる事になります。
大人になっても、子供と同じようないじめをしてくる人物は、情けない話しですが世の中には存在します。
こういう人物は、こちらが反論しなかったり、弱みをみせると、つけ上がって益々パワハラ度が増していきます。

まずは、信頼できる先輩や上司に相談しましょう。
そしてできれば、パワハラ上司には毅然とした態度で対するべきです。
子供のいじめと一緒で、こちらが反撃に出そうだと感じると、とたんにいじめを止めるのと同じです。
ただ、こちらが毅然とした態度をしめしても、パワハラを継続したり、もっと陰湿なパワハラをしてくる上司に対しては、別な方法を取らざるをえません。
そして、いつまでも個々の企業任せにはしておけないということかと思いますが、法律の改正によって、今後パワハラ対策が強化されることになります。
『パワハラ防止』の法改正
冒頭では『パワハラ防止』の改正法と書きましたが、正確にいうと「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という法律の改正です。
改正された箇所を確認します。
第四条(国の施策)
パワハラ改正法
十四 職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること
第三十条の二 (雇用管理上の措置等)
パワハラ改正法
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
この法律は、大企業に対しては2020年6月から施行されます。(中小企業は2022年4月から適用)
パワハラ行為に対する罰則などの規定はありません。
しかし、法律に明記されたことで、厚生労働省の指導も厳しくなり、パワハラ予防に真剣に取り組む企業が増えていくことでしょう。
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