レジ袋の有料化で環境省はどんな効果を望んでいるのか? 「無意味」との声と英国の結果を確認

レジ袋1 社会問題(課題)

数年前から、近所の大手スーパーマーケットでは、レジ袋が有料になっています。

小売店舗では、まだそのような動きはありません。

軽くて丈夫、安くて再生利用が可能というレジ袋ですが、政府の使い捨てプラスチック削減目標の対象になりました。

更に今後、レジ袋はすべて有料になっていってしまうのでしょうか。

ちなみに現在、国民一人当たりのレジ袋使用は、年間およそ300枚といわれています。(正確な統計はない模様。2002年の一私企業の調査より)

環境省がどのような考えなのか、確認してみます。

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環境省のレジ袋有料化の狙い

【日本経済新聞 2019.10.19】
環境省は19日、中央環境審議会の専門委員会で、レジ袋の有料化の義務付けを含んだ使い捨てプラスチックの削減戦略の素案を示した。

スーパーやコンビニエンスストアなどの小売業を対象に、2020年度以降の義務化を目指す。
国内では年約900万トンのプラスチックごみが排出されており、そのうち約400万トンが包装容器やペットボトル、レジ袋といった使い捨てプラスチックだ。

家庭などから出る一般廃棄物の比率が約8割を占める。
そのため環境省は素案の中で、使い捨てプラスチックの削減目標を初めて示した。食品の包装容器の利用削減を含めて、使い捨てプラスチックの排出量を30年までに25%減らすとした。

日本経済新聞

記事にあるように、年間で400万トンの包装容器やペットボトル、レジ袋などの使い捨てプラスチックが廃棄されています。

プラスチックゴミを減らす理由

そもそも環境省は、なぜプラスチックのゴミを減らそうとしているのでしょうか?

環境省では、2019年にプラスチック資源循環戦略を立てています。

その背景には、「廃プラスチック有効利用率の低さ、海洋プラスチック等による環境汚染が世界的課題」にあるからです。

日本は、世界の資源循環の取組を牽引してきましたが、世界的にみると、廃プラスチック有効利用率はかなり低い状況です。

また、海洋に捨てられるプラスチック等によって、海洋汚染が進み、海洋動物がその影響をもろに受けている現状があります。

環境省HPより引用

この数字を見て唖然とさせられます。

様々な理由はあるにせよ、海洋ゴミの問題は、倫理観やマナーの問題でもあります。

プラスチックが悪いのではなく、ゴミを捨てる人間が一番悪いということは明白です。

物を所かまわず捨てるような人は、プラスチックだろうがなんだろうが関係なく捨てます。

ただし、日本にも“負の部分”があります。

【HUFFPOST 2019.5.30】
私たちが普段、何気なく捨てているプラスチックごみ。それらは国内で正しくリサイクルされ、再利用されていると思っている人もいるかもしれないが、高田教授は「そうではない」と話す。

《実は日本は、プラスチック廃棄物の多くを、リサイクルとして海外に輸出しています。その数は、年間およそ150万トンに及びます。リサイクル処理には手間がかかるため、その人件費を日本では捻出できないことから人件費の安い海外に輸出しているのが現状です。》

つまり、「日本はプラスチック廃棄物の処理を海外に押し付けている」と指摘する。(東京農工大学・高田秀重教授)

HUFFPOST

2017年までは、日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国でした。


廃プラスチックの説明で話が広がり過ぎましたので、レジ袋の話に戻します。

多くのプラスチックごみの中で、レジ袋はおよそ2%ほどといわれています。飲料用のペットボトルや産業用のプラスチックと比べれば、本当にわずかな量です。

有料にすればレジ袋の使用が減るのではないかということですが、そううまくいくでしょうか。

レジ袋有料化でもゴミは減らない?

レジ袋を有料化したくらいでゴミは減らないから、やっても効果はあまり期待できないとする考えもあります。

例えば、ケルンのドイツ経済研究所ではこうって言っていると、NEWSSALTの記事です。

【NEWSSALT 2016.7.8】
1つ目は、無料だったものが有料になることは、いったんは人々の行動に変化をもたらすものの、しばらくすれば人はそれに慣れてしまい、レジ袋を購入するという行為が普通になるだろうという予測。

2つ目の理由として同研究所のエコノミストは、レジ袋の値段を高く設定しているアイルランドの例を挙げつつも、「レジ袋の値段は、それを支払うことで良心の呵責の代償を払う心理的効果をもたらす」と指摘。

「ビニール袋が環境に負荷を与えるという知識を持っている消費者ほど、レジ袋にお金を払うことで許されるような認識を持ってしまい、結果的にレジ袋の消費を減らすことにならない可能性がある」としている。

NEWSSALT

たしかに、ゴミ袋の有料化で、消費者に廃プラスチック問題を知ってもらうということでは、意味があるかもしれません。

それとは別に英国では、実際にレジ袋の有料化をおこなって、顕著な結果が出ています。

【BBC NEWS JAPAN 2019.8.5】
イギリスの環境・食糧・農村地域省は、イングランドの大手スーパーマーケットで昨年販売されたレジ袋の総数が、前年と比べて約半分にまで減少したと発表した。

同省の報告書によると、同国のスーパー大手アスダ、マークス・アンド・スペンサー、モリソンズ、セインスベリーズ、生協、テスコ、ウェイトローズでは昨年、約5億4900万の使い捨てレジ袋を販売した。これは、約10億袋だった前年の約2分の1だ。

イングランドでは、プラスチックごみによる海洋汚染問題への取り組みとして、従業員250人以上の小売業者を対象に2015年にレジ袋が1枚5ペンスに有料化された。

以降、使用されるレジ袋の数は約9割減少した。2014年のレジ袋購入数は、買い物客1人あたり約140袋だったが、現在では約10袋にとどまっている。

BBC NEWS JAPAN

ただし、再度書きますが、多くのプラスチックごみの中で、レジ袋はおよそ2%ほどの割合です。

わかりやすいところ、取りくみやすいところから始めるという点では良いのかもしれませんが、海洋プラスチックの問題解決の取り組みは、まだ始まったばかりなのかもしれません。


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