災害地域の給水問題から自衛隊への派遣要請の手順や条件を確認してみた

法律・行政関連

台風19号(2019年)の被害状況が日を追うごとに明らかになってきています。

被害は広範囲の都県にわたり、死者49人・行方不明者15人(内閣府発表・10月16日現在)という悲惨な状況になっています。

堤防の決壊で家屋が水害にあい、避難所生活を強いられる人や、濁流で汚れた住まいを片付ける人の姿を映像でみると、本当に心が痛みます。

地震や自然災害でおこる停電や断水は、日頃当たり前のように電気や水の恩恵にあずかっている日本人にとって、これ以上ない不便な生活を強いられます。

そんな中、災害で活躍する自衛隊関連のこんなニュースがながれています。

【神奈川新聞 2019.10.16】
台風19号の影響で断水被害があった神奈川県山北町で、到着した陸上自衛隊の給水車が引き返し、県の給水車到着まで約6時間にわたり利用できない事態が生じていたことが15日、分かった。

陸自に対する町の災害派遣要請に県が「まだ早い」(町担当者)と待ったをかけた格好で、地元では「緊急時に正しいことなのか」と疑問の声が上がっている。

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自衛隊への派遣要請の手順

自衛隊に対して、どうしても出動してほしいという要望があった時には、どのような手順で依頼するのでしょうか

言葉では分かりづらいので、陸上自衛隊のHPから『災害発生から派遣までの流れ』を引用します。

見てわかるように、市区町村長は直接、自衛隊に派遣要請することはできません。

災害派遣要請を都道府県知事に要求して、知事→防衛大臣経由で自衛隊が派遣されてくることになります。

黒岩神奈川県知事の説明

今回の山北町の場合は、神奈川県(知事)に自衛隊派遣を要請しましたが、県は給水車を神奈川県で準備できるので、防衛大臣への派遣要請はしなかったということです。

メディアで大きく取り上げられていることもあって、神奈川県の黒岩知事が神奈川県のHPで、今回の件を説明しています。

台風19号の被害に伴う山北町の給水支援について

(10月13日)午前6時過ぎに、町から県に対して、自衛隊の派遣要請についてファックスで依頼がありました。

一方、自衛隊の災害派遣要請を判断する基準として、「緊急性」「非代替性」「公共性」の3つの原則があります。

県は、今回の台風を迎えるにあたり、県企業庁の給水車の準備を行っていました。

そのため、自衛隊災害派遣の3原則に照らし、他に取りえる手段がないという、「非代替性」の条件を満たさないため、すでに準備を整えていた県の給水車を優先させる、との判断をしたものです。

自衛隊の災害派遣要請を判断する基準(条件)として、「緊急性」「非代替性」「公共性」の原則があるということです。

黒岩知事は、上記のことを説明したうえで、こうも述べています。

事実として、自衛隊の給水車が到着していた中で、柔軟に、給水をお願いするなどの対応ができませんでした。速やかな給水ができなかったことは真摯に受け止めたいと思います。

否は否として認めていると取ることもできる文言です。

自衛隊と湯川山北町長との関係性

自衛隊の静岡県駒門駐屯地と山北町の位置関係を確認して下さい。

駒門駐屯地から山北町役場までは、距離にしておよそ28Kmです。
県道やバイパスを通って、車で40分程走れば、到着する距離です。

山北町の湯川町長によれば、日頃から自衛隊の人達とは、親しくしていたといいます。

テレビのインタビューでは、こんな表現をされていました。

「日頃から年何回もお付き合いしていますので、(自衛官から)『何かあれば真っ先に第一高射特科大隊はかけつけますよ』と言われていた」

駒門駐屯地の自衛官からすると、日頃から言っていたことを、この機会に実行したといえます。

多少前のめりだったかもしれませんが、山北町役場で自衛隊は待機し、命令があるまで行動はしてはいません。

山北町町民のために、少しでも早く水を供給したいという、自衛官の優しさからの行動であったことは、間違いないでしょう。

原則を忠実に守るという点は、日本人の良いところではありますが、ややもすると融通がきかない悪いところでもあります。

今回は、水の供給が遅くなったことで、町民に被害が出たという報道はないようなので、よい教訓として次回にいかしてほしいですね。


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