国会議員と企業との増収賄問題が話題となっています。
国会議員は、政治団体や政党を介して、企業や個人から政治献金を受けとることができると、法律で認められています。
その法律が、政治資金規正法です。
<政治資金規正法>
第二条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。
政治資金規正法
このように、有権者からお金を受けとることが、すべて悪いわけではありません。
「お金をもらったなら、しっかりその収支を明らかにして、ちゃんと使ってね」ということです。
それでは何が良くて、何が問題なのでしょうか。

また、受けとる金額や手続き上の問題は、どういったことがあるのか、さっそく確認してみたいと思います。
まず、こちらの記事を読んで下さい。
【朝日新聞DIGITAL 2020.1.6】
中国企業側は秋元議員以外に5人の国会議員にも100万円前後の現金を配ったと供述し、東京地検特捜部は符合するメモを押収している。5人のうち中国企業側からの現金受領を認めたのは下地氏が初めて。下地氏は「中国企業の顧問とは認識していたが、選挙中の個人献金で、外国企業と認識してもらったわけではない」と釈明。「環境が整い次第、速やかに返却する」とも述べた。
朝日新聞DIGITAL
まずは個人献金についてです。
選挙中の個人献金
下地議員は「選挙中の個人献金と思った」から受け取ったと言っています。
法律を見てみましょう。
<政治資金規正法>
第二十二条 2
政治資金規正法
個人のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えることができない。
一政治団体に対しての個人献金は、年間で150万円まで認められていますので、日本人から選挙中に100万円の献金を受けたとしても違法ではありません。
また、下地議員は「外国企業とは認識していなかった」とも言っています。
外国人献金
政治資金規正法では、外国人からの献金についてこう書かれています。
<政治資金規正法>
第二十二条の五
政治資金規正法
何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織 ~ ~ 政治活動に関する寄附を受けてはならない。
外国人や外国企業からの献金は受け取ってはいけないのです。

下地議員は、紺野昌彦容疑者から献金をもらったのであり、日本人からの献金は、何の問題もないと思っていたと言っているのです。
ところが、献金を受け取った時に、通常であれば政治団体として、領収書を出さなければならないところ、この100万円の献金に対して、領収書を渡していないことがわかっています。
【朝日新聞DIGITAL 2020.1.6】
朝日新聞DIGITAL
下地氏によると、前回の衆院選中の2017年10月15日ごろ、那覇市の選挙事務所で、職員が選挙資金として、「500」社顧問の紺野昌彦容疑者(48)から袋に入った100万円を受け取った。領収書は紺野容疑者が固辞したため、作成しなかったという。
政治資金規正法を確認してみます。
<政治資金規正法>
第十一条
政治資金規正法
政治団体の会計責任者又は政治団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために支出をした者は、一件五万円以上のすべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない。
献金した人物が「領収書はいらない」と言ってきたので、領収書を発行せず収支報告書にも記載しなかったが通用するなら、政治資金規正法の意味がありません。
下地議員に何か後ろめたいものがあったのかは断言できませんが、疑われても仕方ないことではあります。
企業献金
最後に、政治家への企業献金について確認してみます。
先ほど見たように、外国企業からの献金は、政治資金規正法の第二十二条の五で禁止されています。
では日本企業からの献金ならば、政治家は受けとることは可能なのでしょうか?
答えは、NGです。
ただし企業からの献金は、政党本部または支部へ直接か、政党が指定する政治資金団体にすることは合法です。
結果的には政党を介して政治家に献金が渡るので、「迂回して献金しているだけではないか」という批判の声があります。
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