消費税10%は更に引き上げられてしまうのか? 自民党内の攻防が日本の未来を決める

法律・行政関連

首相の諮問機関である政府税制調査会で、消費税に関する議論がおこなわれたと報道されました。

【産経新聞 2022.10/26】
参加した複数の委員から、国の財源確保に向けて中長期的な視点で消費税率を現在の10%から引き上げる議論をすべきとの意見が相次いだ。
また、環境性能に優れ、重量税などが優遇される電気自動車(EV)に対し、ガソリン車よりも比較的重く道路への影響が大きいことから、道路を整備するための財源確保に向けた課税の必要性を求める意見が出された。

記事によると、消費税増減の議論ではなく、あくまで “消費税を10%から引き上げる議論” のようです。

政府税制調査会で消費税増税の議論が出たということは、近い将来に消費税が増税されてしまうのでしょうか。

一般的な国民の声としてよく聞くのが「消費税が上がるのは嫌だけれど、これ以上国の借金が増えるのは良くないよね」という意見です。

多くの国民がこの考えに縛られているようだと、消費税増税はやがて実現されてしまうでしょう。この思考は、財務省とマスメディアの術中に嵌まったことになるからです。

逆に世論が国債発行(いわゆる借金)の意義を理解し、「現状での消費税増税はまったくの愚策」との意見が多数を占めれば、消費税増税を阻止するのみならず、消費税減税にも舵をきることができます。

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10%からの引き上げ議論

なぜ消費税を、10%よりも更に引き上げなければならないのでしょうか。

それは、「国の財源を確保するためだ」と財務省は言います。

“国の借金” が1200兆円を超える中で、借金を返済するためには、増税により財源を確保することが必要不可欠だというのです。

更には、高齢化が年々すすみ、社会保障費の財源を確保するためにも、消費税を上げる必要があります。

また、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして、中国による台湾侵攻が夢物語ではないことを実感した日本政府は、防衛費をGDPの2%に増額する方針に切り替えました。

これだけお金が必要になってきたのだから、消費税で財源を確保し、未来の子孫にこれ以上借金を増やさないことが、今を生きる大人の責任であるという理屈です。


しかしこれは、あくまで財務省陣営の考え方でしかありません。

また大半のマスメディアも基本的には、財務省の発信に追随して、消費増税の必要性を報道します。

財務官僚が、財務省担当の記者クラブ『財政研究会』を完全に手なずけているからです。

政府税制調査会

政府税制調査会は、内閣総理大臣の諮問(意見を尋ね求めること)に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議する会です。

現在のメンバーは以下の通りです。

委員が20人で、特別委員が26人となっています。


10月26日に開かれた第20回の調査会では、前半と後半に官僚の資料説明が合計で50分ほどあり、その説明後に委員からの意見や質問等があります。

参加人数からも分かる通り、一委員は2~3分くらいの発言しかできません。

緊縮財政派として有名な土居丈朗慶応大学教授は、途中退席のため先に「未来永劫消費税率を10%のままでは財政が持つとはとても思えない」という意見を4分弱で述べていました。

政府の調査会や審議会等のメンバーは誰が決めるのかといえば、その審議会に関係する省庁が担当します。

内閣総理大臣や各大臣のリーダーシップが強ければ、その意向に沿った委員が選ばれることになりますが、そうでなければ、その省庁が勧めたい政策に添って発言してくれる専門家や有識者を中心にメンバーを選ぶことになります。

要するに、「専門家からも意見を聞いて決めました」という省庁のアリバイ作りために、審議会を開いているといっていいでしょう。

消費税の歴史

簡単に、消費税の歴史について確認してみましょう。

消費税が導入されたのは、1989年のことです。
最初の消費税は、3%でした。

なぜ消費税を導入する必要性があるのか、その時の自民党の竹下登政権では、「高齢化社会という新しい時代に耐える税」と説明していました。

その後、1997年に橋本龍太郎政権で5%、2014年に安倍晋三政権で8%と段階的に消費税は引き上げられました。

そして2019年10月には、安倍政権で2度目の増税となる10%(飲食料品や新聞は軽減税率適用で8%に据え置き)まで、消費税は引き上げられることになったのです。


消費税を10%に上げる際には、自民党内からも相当な反対の声がありました。

デフレ下を脱出できていない経済状況で増税を行うなど、狂気の沙汰という意見です。

当時の安倍首相自身が、デフレ下での増税に相当躊躇していましたが、2度にわたる消費税増税を見送っていたこともあり「国の信認を維持していくために財政健全化を計りつつ、社会保障の伸びへの対応や質の維持に必要」との理由で、消費税10%に踏み切りました。

消費税増減の自民党内攻防

現在の自民党内は、財政再建派(緊縮財政派)と積極財政派の国会議員にわかれて激しい攻防が展開されています。

先日問題になったのは、自民党をないがしろした、岸田首相への鈴木財務大臣と新川財務省主計局長の働きかけです。

【毎日新聞 2022.10/27】
「党が了承しているというのは本当か」
政府側が示した対策の内容を検討する26日の党政調全体会議の最中、萩生田光一政調会長の携帯電話を岸田文雄首相が鳴らした。
慌てて別室に移った萩生田氏に首相はこう問いただした。
この直前、鈴木俊一財務相が首相官邸を訪れていた。
首相はその際、鈴木氏から総額「25兆円1000億円」を党側が了解したとの説明を受けたと明かした。
党側はこの日、財務省から総額の提示を受けていた。だが、了承はしていなかった。

【産経新聞 2022.10/28】
26日午後、岸田文雄首相は官邸で鈴木俊一財務相ら財務省幹部と面会した。
この時間は、総合経済対策を議論する党の政調全体会議が開かれていた。
萩生田氏は会議中に首相から電話を受けて規模などに納得しているかを問われ「全く納得していない」と応じたことを紹介し、出席議員からは財務省批判が続出した。
財務省は負い目ができた形となり、その後の調整で党側の要求が次々と受け入れられた。

財務省のこの態度に、萩生田光一政調会長は激怒しました。

そして会議では、「政策の責任をとるのはあなたたち(財務官僚)じゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」と言い切りました。


財務省の影響力を強く受けた財政再建派のメンバーは、額賀福志郎元財務大臣や麻生太郎元首相、元大蔵官僚だった宮澤洋一議員などです。

対する積極財政派は、高市早苗議員や西田昌司議員、城内実議員などのベテラン・中堅議員です。

また、自民党内には若手議員がつくる『責任ある積極財政を推進する議員連盟』があります。
2022年7月現在の会員数は85名で、顧問には衆議院6回当選の城内実議員が就いています。

自民党内のこの攻防が、日本の未来にとってどれだけ重要なものなのか、国民はもっと関心を示す必要があります。


タイトルに『消費税10%は更に引き上げられてしまうのか?』と書きました。

その答えは、自民党内の攻防で積極財政派の意見が通り、やがてその考えが主流になっていけば、当分の間消費税が上げられることはないと考えられます。

逆に、財務省とタックを組んだ財政再建派(緊縮財政派)の意見が通れば、徐々に「財政再建のために消費税増税が必要」との考えが、マスメディアを通じて広まっていくでしょう。

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