てんかん発作の症状がでると車の運転はむずかしいのか? どんな影響があるか確認してみる

社会問題(課題)

2015年、東京都の池袋駅近くで、交通事故がありました。
ニュースにもなって取り上げられた事故ですので、記憶にある人もいるかと思います。

【産経ニュース 2018.1.16】
東京・池袋で2015年8月、乗用車を運転中にてんかん発作を起こして暴走、歩行者1人を死亡させ、4人にけがを負わせたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われ、1審で懲役5年の判決を受けた医師、金子庄一郎被告(56)の控訴審初公判が16日、東京高裁で開かれた。

弁護側は1審で「被告は発作を抑える薬を飲んでおり、発作の兆候はなかった」として、危険運転には当たらないと主張したが、17年6月の一審東京地裁判決は「発作が起きる危険性を認識していた」と退けた。

地下駐車場から出てきた車が約50m走行後、そのまま歩道に乗り上げ、死傷者を出した事故です。

事故を起こした被告は当時、『居眠り』をその理由にあげていました。
ただ、地下駐車場から出て、すぐに居眠りをするという事は、常識では考えられません。

裁判のニュースが伝えるように、結果として、被告には “てんかん” の持病があったのです。

被告は、大学生の時に “てんかん” と診断され、その当時、薬も服用していたと、妹と主治医から、警視庁池袋署に申告があったのです。

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“てんかん”とは?

“てんかん” とは、どんな病気でどんな症状が出るのでしょうか?

公益社団法人 日本てんかん協会のHPに詳しく書かれていますが、通常の会話で人に伝えたり、子供に説明するには、内容が分かりづらいです。

分かり易くまとめると、

  • てんかんは、大脳の病気
  • 何かのきっかけで、大脳が異常に興奮する状態
  • 昔は子供の病気とされていたが、大人も発症する
  • 発作時に、意識を失い全身の痙攣(けいれん)をおこす(顕著な症状の一つ)
  • 『原因不明』と『頭部外傷・脳腫瘍等が原因』とに分かれる(患者全体の約6割が原因不明)
  • 治療は、抗てんかん薬の服用

これくらいを頭に入れておけば、一般常識レベルとして問題はないでしょう。

てんかんに対する偏見

日本てんかん協会では、以下のような表現もつかっています。

『てんかんのある人は、100人に一人の割合でいると言われていますので、日本全国にはおおよそ100万人が推定されています。さらに一生の間に1回あるいは数回だけしか発作をおこさないようなてんかん周辺群も含めますと、その数はおおよそ人口の5%にもなると言われています。』

日本てんかん協会HP

「えっ、そんなにいるの?」と正直思ってしまいますが、『てんかんはさまざまな病状の集まりであり』とも書かれているので、本当に些細な症状も医学的には“てんかん”の部類に入るということなのかもしれません。

ここで、注意が必要なことが一つあります。

それは、“意識を失う” ・“全身痙攣” といった症状によるてんかん患者に対する偏見です。

池袋のような交通死亡事故があると、どうしても “てんかん=運転してはいけない病気” と思ってしまいます。

医師の指導のもと、抗てんかん薬をしっかり服用していれば、多くのケースで発作をコントロールすることができるということです。

通常の社会生活をおこなうことが可能なてんかん患者に対して、偏見から、能力を発揮する機会を奪うことのないよう配慮し、病気の特性を周囲の人がよく理解してあげることが必要になります。

車の運転は大丈夫?

では、車の運転に関してはどういった制限があるのでしょうか?

運転中、意識を失ったらどうなるかは、誰でも想像できます。

てんかん患者の自動車免許取得の可否には、一定の条件が決められています。

例えば、

○5年以上発作がなく、今後発作がおこるおそれがない。

○2年以内の発作がなく、今後、X年程度は再発のおそれがない。

一定の病気等に係る運転免許制度の在り方

これは一例ですが、詳細を知りたい方は以下をどうぞ。
  <一定の病気等に係る運転免許制度の在り方>(警察庁)

過去のてんかん患者による事故から、こういった条件が決められてきたわけです。

2011年4月に起こった栃木県鹿沼市でのクレーン車暴走事故では、集団登校中の子供6人が亡くなりました。

2012年4月には、京都の祇園で軽ワゴン車が暴走事故を起こし、運転者を含め8人が犠牲になっています。

どちらの加害者(てんかん患者)も、家族や医師から運転はしないように言われていたにもかかわらず、車を運転し起こした事故でした。

てんかんの持病者は、主治医との良好な関係と自己管理(薬の服用等) 、そして免許更新の際には、正しい症状の申告・相談を行って、運転に支障が生じないように務めてほしいと思います。

最後に一点、今回はあくまでてんかんに関する記事を書いたので、事故の事例やてんかん持病者の運転問題に焦点を当てました。

ただし、病気が関係した交通事故では、てんかん以上に、心臓病や糖尿病を患っている人の方が、交通事故のリスクが高い可能性があると言われていることを付け加えておきます。

【朝日新聞DIGITAL 2016.2.27】
急病による事故は少なくない。交通事故総合分析センターと日本自動車工業会の調べでは、2012年に全国で起きた交通人身事故のうち、運転者の発作・急病によるものは254件。全件数の0・04%だが、それ以外の事故と比べて死者が出る割合が高い。

心疾患は年に20件前後、脳血管疾患は50件前後ある。年齢が上がるに従って脳血管疾患が多くなる傾向にあるという。


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