晩婚化の上昇が続いています。
1975年、初婚の平均年齢は男性が27.0歳、女性24.7歳でした。
それが、40年後の2015年、初婚平均年齢は男性31.1歳、女性29.4歳まで上がっています。
晩婚化は、はたしてこのまま進んでいくのでしょうか。
なぜ晩婚化が進んだのか、その現状を確認しつつ、原因を探っていきたいと思います。
そしてそれによって今どんな影響が出てきているのか、調べてみます。
晩婚化の現状確認
先ほど、1975年と2015年の初婚平均年齢を確認しました。
では、1975年からの5年ごとの推移をグラフで見てみましょう。
こちらのグラフは、厚生労働省が行っている人口動態調査から抜粋した資料です。
1990年代後半から2000年代前半に女性の平均初婚年齢が一気に上昇した印象を受けます。
この状況は、女性の大学進学率の推移のグラフと比較してみると興味深い内容があります。
晩婚化の原因
男女別の進学率の推移です。
女性の晩婚化の原因
平成2年は、西暦1990年です。
1990年以降、女性の大学進学率が右肩上がりになっているのがわかります。
平成2年(1990年)の女性の大学進学率が15.2%、5年後には22.9%、平成25年(2013年)には45.6%と、男性の大学進学率に迫る勢いです。
22歳で大学を卒業して就職、社会に出て5年~7年経てば、当然のことながら年齢は27~29歳になります。
年々すすむ晩婚化の一つの原因は、女性の大学進学率が増えたことといえそうです。
更に、女性の社会進出を後押しする法律の施行(男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法)も影響しているといえます。
【男女雇用機会均等法(正式名「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)】
職場における男女の差別を禁止し、募集・採用・昇給・昇進・教育訓練・定年・退職・解雇などの面で男女とも平等に扱うことを定めた法律。1985年制定、翌86年より施行。
その後、97年に一部改正され、女性保護のために設けられていた時間外や休日労働、深夜業務などの規制を撤廃。[ASCII.jpデジタル用語辞典より]
【男女共同参画社会基本法】
男女が互いに人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現を21世紀の日本社会の最重要課題とし、その基本理念と施策の方向を定めた法律。
男女共同参画審議会の答申(1998年11月)を受けて、1999年6月制定。[百科事典マイペディアより]
大学卒業後に就職してキャリアを磨こうとすれば、5年~10年はあっという間に経ってしまいます。
1990年代は法律の後押しがあったにせよ、世の中はまだまだ男性社会という風潮が根強かったです。
家庭を持ち子育てするのか、それともキャリアを積むのか、職場環境によっては、どちらかを選択しなければならない女性の立場でした。
その状況が少しずつ変わり、女性のライフスタイルの変化を後押ししたことで、晩婚化が進みました。
男性の晩婚化の原因
男性の場合、経済的に余裕がないということで、結婚の時期が延びてしまっていると言われることが多いようです。
確かにそういった一面もあるでしょう。
ただそれよりも個人的に思うのが、女性の晩婚化の影響を受けて、男性も晩婚化したのではないかということです。
公的な資料は見つかりませんでしたが、色々なサイトや雑誌などで、結婚での年の差に関するアンケートを見てみました。
そこでは、理想の結婚での年の差が『(男性が年上で)2~3歳』という回答が一番多くありました。
また私自身の周り見ても、平均的に2~3歳差の夫婦が多いです。
そこから考えると、晩婚化した女性の結婚の対象者が、2~3歳差の年上の男性で、結果的に男性の初婚平均年齢も上がってきたという結論も出せます。
これはあくまで私の持論ではあります。
それより男性の場合、晩婚化問題よりも、未婚問題の方がはるかに深刻な問題だと思います。
2015年の男性の生涯未婚率は、23.37%でした。
生涯未婚率については、以下の記事に書きましたので、そちらで確認してほしいと思いますが、何と男性の4人に1人が結婚しないで一生を過ごすという現実に、驚かずにはいられません。
晩婚化による影響
晩婚化でどんな影響が出てくるのでしょうか?
やはり一番大きな影響は、少子化の進行です。
日本は、結婚していない男女のあいだに生まれる子どもの割合がとても低い国ですので、晩婚化すればそれに比例して、初産も高齢になってきてしまいます。
先ほどの初婚平均年齢の推移のグラフを確認してみましょう。
そこには赤ちゃんを出産した時の母親の平均年齢が記されています。
1975年に、第1子出生時の母親の平均年齢が25.7歳だったものが、2011年には30歳を超え、2015年には30.7歳までになっています。
第2子出生時の年齢を見ても、1975年では28.0歳、2015年では32.5歳にまでなっています。
次に、完結出生児数の数字を見て下さい。
完結出生児数の説明は、そのままの文章を載せておきます。
「夫婦の完結出生児数とは、結婚持続期間(結婚からの経過期間)15~19年夫婦の平均出生子ども数であり、夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされる」
2015年、夫婦の平均子供数は1.94人になっています。
ちょっと意外だったのは、1972年には子供の数が2.20人になっていることです。1970年代からすでに、『子供二人時代』に入っていたのですね。
こちらの表を見てもらうと、更にわかり易いかと思います。
2000年代に入ってから、一人っ子の家庭の割合が増えています。
子育てには体力が入ります。
30歳をこえて初めて子供を授かり、仕事を続けながら育児をこなすことは大変なことです。
晩婚化の影響で「子供は一人いれば充分」という結論に到ってしまっても、仕方ないことかもしれません。
晩婚化への政府の対策
晩婚化が少子化につながっているという現実に対して、政府はどのような対策を行っているのでしょうか?
政府は「もっと若いうちに結婚しましょう」とは、決していえない立場ではあります。
できることは、
- もっと子育てがしやすい環境を整備すること
- 高齢での出産・育児の困難さや問題点を客観的に提示・啓蒙していくこと
両面からのアプローチが必要です。
政府では具体的に、1994年からエンゼルプランをたてました。
このエンゼルプランは、晩婚化に対する直接的なアプローチというわけではなく、子育て支援のための施策の基本的方向について取りまとめたものです。
更に、少子化に対する危惧から、政府として2015年に、少子化社会対策大綱を策定しました。
その中に、『若い年齢での結婚・出産の希望が実現できる環境を整備する』という目標を立てています。
施策としては、『経済的基盤の安定』『結婚に対する取組支援』をあげています。
【経済的基盤の安定】
若者の雇用の安定、高齢世代から若者世代への経済的支援を促進する仕組みの構築など、若者の経済的基盤の安定を図る。
【結婚に対する取組支援】
適切な出会いの機会の創出・後押しなど、地方自治体、商工会議所などによる結婚支援や、ライフデザインを構築するための情報提供などの充実を図る。
現状をみる限り、まだまだ晩婚化の歯止めにはなっていないようです。
ただ、急に改善されるような類いの課題ではないことは、理解できます。
『晩婚化』や『少子化』の問題に向きあう際、「こうなってしまったら大変!」「この状況はまずい」となりがちです。
そのようなネガティブな問題提起も時には必要ではあります。
でもそれ以上に、『結婚する価値』や『子供を持つ喜び』という観点に焦点を当て、アプローチした方が、健全ではないでしょうか。
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