深夜徘徊して補導される子供達があとを絶ちません。
親の目を盗んで外出する子、あるいは親はまったく無関心で、自分の居場所を求めて夜の街をさまよう子。
深夜とは何時から何時をいうのでしょうか? また、補導される対象年齢は何歳なのでしょうか?
そして、警察は何を根拠に補導しているのでしょうか?
深夜徘徊がきっかけで、痛ましい事件が大阪で起こりました。最初に、亡くなった中学生二人のご冥福をお祈りいたします。
もちろん、深夜徘徊していたことが、一番の原因ではありません。鬼畜の所業ともいうべき容疑者の犯行が、最も責められるべき事です。
事件後の新聞に、「子どもの深夜徘徊止めない大人 昨年の補導は約43万人」という記事が出ていました。
今年、警察庁が発表した『少年非行情勢』によると、平成26年に深夜徘徊で補導された少年は、429,943人でした。
補導のトップ1は深夜徘徊
以下は、警察庁生活安全局少年課が発表した資料からの抜粋です。
全補導人員は、731,174人ですので、補導される少年の約6割は、深夜徘徊がその理由です。
年ごとの数字を見てもらえればわかりますが、自治体や警察の努力の結果でしょうか、年々補導人数は減ってはきています。
ただ、現在でも年間約43万人が、深夜徘徊で補導されているということは、補導されなくても深夜徘徊している少年は、その何倍もいるということです。
警察庁の別の資料(「少年の補導及び保護の概況」)では、学年・年代別に人数が出ています。それによると、(深夜徘徊で補導された)小学生は1,199人、中学生は74,456人、高校生は210,605人です。
深夜徘徊の定義
ここでちょっと確認しておきたいのが、“ 深夜徘徊 ”を、警察ではどう定義付けしているのかという点と、“ 補導 ”はどういった法律や条例を根拠に行っているかという点です。
<茨城県警察のHP>
深夜とは、午後11時から翌日の午前4時までをいいます。特別な事情がなく、深夜に子どもたちだけで出歩いていると補導されることもあります。
神奈川県警察のHPにも「深夜(午後11時~午前4時まで)」とありますので、この時間帯に、子供達だけで出歩いている事を、“ 深夜徘徊 ”と定義付けていいと思います。
※青少年育成条例により、深夜を午後10時~午前5時と定めている都道府県もあります。(例:福島県)
深夜徘徊 補導する根拠
“ 補導 ”する根拠については、上記の※印の所で触れたように、各都道府県で定められている青少年育成条例によります。
長野県を除く都道府県では、この条例で深夜帯を定義し、保護者の同意なく深夜の外出をしている青少年を補導しています。
例えば東京都(青少年の健全な育成に関する条例)では、
何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努めなければならない。ただし、青少年が保護者から深夜外出の承諾を得ていることが明らかである場合は、この限りでない。
とあります。
ここでいう“ 青少年 ”とは、ほとんどの都道府県が18才未満をさします。
では、18歳19歳の少年は対象とならないから補導できないかというと、そうではありません。
少年警察活動規則 (警察法施行令 第十三条第一項の規定に基づき定めた規則)
第十四条
不良行為少年を発見したときは、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い、必要に応じ、保護者に連絡するものとする。
「青少年育成条例」と「少年警察活動規則」を根拠として、警察は、深夜徘徊に対する補導を行っています。
年々減っているとはいえ、小中学生の深夜徘徊補導人数は、75,655人です。単純に1年365日で割ると、1日約210人になります。
繰り返しになりますが、これはあくまで補導された人数で、深夜徘徊している小中学生の数は、その数倍でしょう。
小中学生が深夜に外出していても問題にしないのは、90数%以上が親や保護者の責任であることは間違いないでしょう。
深夜の街や仲間に心の安らぎを求めて彷徨う子供達、胸が痛みます。
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コメント
青少年保護育成条例とは、大人が青少年を守るためにすることを定めたもので、青少年の守るべき規定を定めたものではないと思いますが。ですから、青少年の夜間外出を青少年保護育成条例で禁止してるとは、おかしな話です。保護者が、深夜に外出させないように努めるという努力目標を掲げているだけです。
zin様
ご指摘ありがとうございました。
禁止の文字を削除し、文言を修正させていただきました。