ブルーインパルスと聞いて「アクロバット飛行」という言葉がすぐ浮かぶ人も、少しずつ増えてきているはずです。
そして、そのブルーインパルスを操縦するパイロットの勇姿を見れば、多くの人が格好いいと憧れの思いを抱くことでしょう。
ブルーインパルスのパイロットになるのは、どれくらい難しいことなのでしょうか。
またブルーインパルスのパイロットは引退後、どんな任務についていくのでしょう。
確認してみたいと思います。
ブルーインパルスのパイロットになる方法
ブルーインパルスのパイロットになるのは、相当難しいことと、容易に想像がつきますが、実際はどのような過程を経て、パイロットになるのでしょうか?
自衛隊のパイロットになるための最短コースは、『航空学生』になることです。
募集要項は、高校を卒業(または同等の学力)していて、21歳未満であること。 毎年9月に第三次までの試験が行われ、筆記試験や適性検査でふるいにかけられます。
航空学生になると、約2年間の基礎教育(主に座学)を受け、航空学生終了後に2年間の飛行訓練、さらに2年間の教育訓練後に部隊に配属されていきます。
このトータル6年間の最後の教育訓練(2年間)前に、戦闘機パイロットやヘリコプターパイロットなどそれぞれのコースごとに各部隊で訓練を積むことになります。
航空自衛隊 戦闘機パイロット
航空自衛隊には2023年3月31日現在で、46,994人の隊員が配属されています。
具体的な戦闘機パイロットの人数は防衛秘密事項ですのでわかりませんが、戦闘機パイロットはなりたくてなれるというものではありません。
やはり適正というものが重要視されます。マッハの速さに耐えられる身体能力があって、はじめてパイロットになれるのです。
そこから操縦訓練を積んで一人前の戦闘機パイロットになります。
戦闘機希望者の半数以上は、戦闘機パイロットになれると一般の人からの質問に自衛隊HPで回答しています。
これは、戦闘機パイロットになりたいという志を持って様々な面で努力しているような人であれば、決して狭い門ではないということです。
ブルーインパルスのパイロット任期
ブルーインパルスは、宮城県の松島基地の第4航空団に所属しています。第4航空団は航空教育集団で、主に飛行教育と戦術研究を行っています。
ブルーインパルスのパイロットの任期は3年です。
1年目は訓練期間として、演技を修得します。実際のアクロバット飛行の際には、ナレーションを担当し、後席に搭乗します。
2年目は、アクロバット飛行を行います。
3年目はアクロバット飛行を行いつつ、担当ポジションの教官として、1年目のメンバーに演技を教育します。
ブルーインパルスのパイロットは、全国の飛行機部隊から選ばれた精鋭揃いです。それは、他国(中国、ロシアなど)でも当然わかっていることです。
ブルーインパルスのアクロバット飛行のレベルの高さを見せることは、航空自衛隊の強さを示す一つの側面でもありますので、考え方によれば戦争の抑止につながっているともいえます。
しかし年々、パイロットになる希望者が減っていると言われている現状ではあります。
パイロットになって日本を護るという志の高い若者が少しでも増えてくれることを願うと同時に、実際には戦闘機パイロットが戦わなくても良い世界を作っていくことが、我々大人の責任です。
ブルーインパルスパイロットのその後
3年間の任務を終えたブルーインパルスのパイロットは、その後どんな任務に就くのでしょうか?
ブルーインパルスのパイロットは3年間の厳しい訓練とは別に、航空自衛隊の航空祭や様々なイベントでは、国民と直接触れ合います。
通常の自衛隊ではそういう機会もなかなかありません。
サイン&撮影会
ブルーインパルスの人気は高く、パイロットに対しても、サインや写真撮影をお願いするファンが多数います。
ブルーインパルスのパイロットのサイン&握手&撮影会の様子を動画でアップしている方がいます。
どの隊員さんも優しいまなざしと爽やかな笑顔が印象的です。小さな子供に対しては、しゃがんで目線の高さを同じにして優しく語りかけています。
戦前のことははっきりわかりませんが、昔もきっと「兵隊さん」「兵隊さん」と同じような感じで親しまれていたような気がします。
ある面、華やかな3年間を過ごしたパイロットは、どんな気持ちで次の任務にのぞむのか、ちょっと関心があります。
上の動画のスタート画面に映っている隊員は、立山雄一さんです。
2015年度で3年間の任期を終えて、再び戦闘機のパイロットに戻りました。
「積み重ねた飛行経験を生かし、今度は強くなるための技を究めるのみです」と語っています。
自衛隊員としての誇り
彼らブルーインパルスのパイロットは、全国の各飛行機部隊の中から選ばれた精鋭です。
当然のことながら、トップレベルの操縦技術を持っているわけです。
それと共にブルーインパルスが、航空自衛隊にとってどういう存在なのかということをよく理解しています。
ブルーインパルスを通して航空自衛隊の役割を知ってもらうこと、「僕も大きくなったら戦闘機のパイロットになる」という未来の世代を発掘すること、「航空自衛隊のパイロットの技量は高い」と外国にしめし、強い抑止力をうみだすこと、などなど。
「戦闘機パイロットとして国防を担うことにある」という本来の使命が常に頭の中にある彼らは、その期間が終われば元いた部隊に戻るのが通常です。
そして更に技術を磨くと共に、後進の指導にあたっていく立場になっていきます。
個人的に感じるのは、パイロットにとってブルーインパルスでの3年間は、国民の信託を受けてこそ自衛隊は存在理由があるという事を、肌で感じるための期間なのでしょう。
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