日本の総人口が、国勢調査開始以来はじめて減少したと報じられたのは、2016年のことでした。
【日本経済新聞 2016.2.26】
高市早苗総務相は26日の閣議で、2015年国勢調査の人口速報値を報告した。15年10月1日時点で外国人を含む日本の総人口は1億2711万47人と、10年の前回調査に比べ94万7305人(0.7%)減少した。国勢調査で総人口が減るのは1920年の調査開始以来、初めて。男性は6182万9237人、女性は6528万810人。
日本経済新聞
人口が減るという事は、生まれる人数よりも亡くなる人数の方が多いという事です。
近年、出生数は年々減少傾向にあり、2016年にはとうとう年間出生数が、100万人を切ってしまいました。
そして2023年の出生数は72万7288人でした。【2023年人口動態統計(確定数)】
少子化問題は喫緊の課題として日本政府も取り組んでいますが、なかなか決定打が見いだせない状況です。
もちろん、これさえやれば問題は解決するという類いの課題ではありません。
今回は、合計特殊出生率と完結出生児数の違いを確認しつつ、人口減少対策の提案をしたいと思います。
合計特殊出生率とは
ニュースになる一般的な『出生率』というのは、合計特殊出生率のことです。
統計を取り始めてから最低を記録した合計特殊出生率は2005年の1.26で、現在は1.44(2016年)と、本当にわずかながらも回復傾向にあります。
この合計特殊出生率というのは、結婚の有無に関係なく、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示すひとつの指標です。
完結出生児数とは
それに対して完結出生児数は、夫婦が最終的に産んだ子供の数をあらわします。
結婚後、15~19年たった夫婦の平均出生子供数を調査し、その数を夫婦の最終的に産んだ子供の数とします。
完結出生児数は、2010年の第14回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)で1.96人となり、1940年の調査以来、初めて2.0人を割り込みました。
完結出生児数が減ったことは、大きな問題です。
2015年の出生動向基本調査では、5年前の調査よりもさらに減り、1.94人でした。
しかも調査対象が結婚から15~19年たっている人ということは、初婚時の平均年齢が20代後半だと思いますので、現在は40代半ば~50才前後の人の出生子供数になります。
年代でいうと、結婚時1990年代前半で、バブル崩壊から徐々に景気後退が顕著になっていく時期です。
それを考えると、現在の結婚した家庭で生まれている子供の数は、もっと減っている可能性があります。
出生動向基本調査は5年ごとに行われますので、第16回の調査は、今年6月頃におこなわれるはずです。
2010年・2015年の調査で減ったとはいえ、それでも一家庭に2人弱の子供が生まれています。
一人っ子家庭(2005年11.7%、2010年15.9%、2015年18.6%)が増えているという現実はありますが、結婚すれば75%以上の家庭が、2人以上の子供を産み育てているのです。(2人:54.1%、3人:17.8%、4人以上:3.3%)
人口減少対策 お見合い企画
合計特殊出生率をもっと上げて、人口減少を止める対策の一つとして、結婚したくても縁を持てない人のサポートを、もっとしてもいいかもしれません。
元々日本人はシャイな民族ですし、近頃は草食系と言われる男性も増えているので、せっかくの男女の縁を生かせない人も多いはずです。
そこで見直されてもいいのが、『お見合い』です。
第8回の1982年出生動向基本調査では、お見合い結婚の割合が29.4%もありました。
それが5年ごとの調査で、23.3%、15.2%、9.7%と減り続け、2010年の調査では、5.2%まで減ってしまいました。
これは私の勝手なイメージかもしれませんが、『お見合い』=「結婚を前提にした堅苦しい出会い」という感じがします。これをもっと、時代にあったものにしていければいいと思います。
そう、『結婚願望を持った人が多くの出会いをする場』をどんどん増やしたら良いでしょう。
すでに地方自治体で行われているお見合い企画を、もっともっと増やしてもいいのではないでしょうか。
現在日本には、1,741の市町村があります。(2018年現在)
小さな自治体が企画・運営までおこなうのは難しいかもしれませんが、全体の十分の一の自治体が企画しただけでも、174のお見合い企画が出来上がります。
例えば、高知県では2016年に「こうち出会いサポートセンター」を立ち上げ、出会いや結婚への支援サポートを行っています。
<高知で恋しよ!! 応援サイト>
内閣府のHPには、各都道府県の結婚支援事業の紹介がされています。
<内閣府 都道府県の結婚支援の取り組み>
これだけの企画があるのですから、後は自己責任でおおいに参加してもらい、自治体では、二人目三人目の子供を産んだ夫婦には、経済的支援をもっと充実していってもらいたいですね。
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