安倍首相存命の2019年7月に参院選が行われました。
事件は北海道の選挙演説中に起こります。
2名の男女が安倍首相の演説中にヤジを飛ばしてきたのです。
それを北海道警の警察官が排除しました。
このことを不服とした男女2名が裁判を起こします。
2022年3月の札幌地裁の判決は、「2人の表現の自由などが違法に侵害された」というヤバいもので、北海道に計88万円の支払いを命じる内容でした。
この時、北海道警側は『排除は警察官職務執行法に基づく適法な行為』と主張していました。
その後、高裁判決を経て、2024年8月に最高裁判決が下されることになります。
結果を伝える朝日新聞の記事を見て下さい。
【朝日新聞デジタル 2024.8/20】
2019年7月の参院選で安倍晋三首相(当時)の演説中にヤジを飛ばし、北海道警の警察官らに排除された2人が、道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は、道と二審で逆転敗訴した原告の男性双方の上告を退けた。
19日付の決定。もう1人の原告の女性の排除を憲法が保障する「表現の自由」の侵害と認め、道に55万円の賠償を命じた二審・札幌高裁判決が確定した。
判決は、男女によって差が出ています。
女性に対しては、排除したことは適切ではなかったと認め、55万円の賠償が命じられています。
それに対して、男性は上告が棄却され、排除されたのは妥当との判決です。
この裁判結果を良い教訓としていかなければならないと思います。
この男性の場合、「大声の連呼に立腹した聴衆とトラブルになる具体的な危険性があった」という判断を最高裁はおこなっています。
それを回避するため警察官が何度も男性に対して警告を発していたにも関わらず、男性はヤジの連呼をやめなかったようです。
これが、男女の判決に差が出た理由です。
要するに、選挙演説中にあまりにも酷いヤジが継続的に行わていたら、まず警察官を呼ぶことです。そして警察官が到着したら、ヤジを発している人物に激しく抗議し、ヤジをやめるよう促します。
時には、聞く権利を妨害する者には「力の行使も辞さないぞ」という姿勢を見せることです。もちろん手出しは禁物です。
それにより、警察官がヤジを発する当事者にやめるよう警告してくることでしょう。
全国の警察が、この北海道ヤジ裁判の結果をしっかり把握しているはずです。
あまり褒められた行為ではないと思いますが、単発の個人的なヤジは仕方ないでしょう。
しかしそれが、組織的・悪質的継続的なヤジであれば、それはとても“表現の自由” などと言えるものではありません。
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