国会議員の定数削減に問題やデメリットはないのか 感情論に流されず考えてみる

ディスカウント・削減 政治・経済関連

「国会議員の定数を削減しろ」という主張は、だいぶ以前から言われていました。 

『国会議員定数削減』という意見を端的に言えば、「議員としての仕事をちゃんとしているのか? していないのなら、人数が多すぎるから減らせ」という事かと思います。

日本は長期のデフレで、リストラや給料削減などで雇用が安定せず、国民が経済的に厳しい状況にあります。 

こういう状況で、適切な対処をすることができず、デフレを継続させているのは、まさに政治家の重大責任です。

にもかかわらず、国会で居眠りをしたり、くだらないパフォーマンスや党利党略で行動する政治家に、国民の不満がくすぶっているのが現状ではないでしょうか。


では、本当に国会議員の数を減らせば、いろいろなメリットが生まれ、良いことばかりなのでしょうか。

先進国との議員数比較や国会議員を削減した際のデメリットなど、考えてみたいと思います。

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国会議員は多いのか?

マスメディアの報道の仕方にもよりますが、政治家が一所懸命に活動していれば、“ 定数削減しろ ” という意見も半減するはずです。 

というのは、議員定数だけで考えると、日本の国会議員は決して多くはないからです。


現在の衆参議員の定数をまず確認してみると、衆議院議員は、465人(小選挙区289人+比例代表176人)で、参議院議員は、248人(選挙区148人+比例代表100人)です。

戦後の議員定数のピークは、1986年の512人(衆議院)と1983年の252人(参議院)で、合わせると764人になり、現状の議員数713人と比較すると、51人も減っている事になります。

  <国会議員定数の変遷

他国の議員数と比較

他の先進国との比較表が以下にあります。

  【OECD諸国の国会議員1人当たりの人口、人口当たりの議員数

国によって、二院制と一院制の違いはありますが、日本は衆参両議員数合わせて、100万人当たりの議員数で、日本は下から3番目の5.6人の少なさです。

20人(100万人当たり)以上の国が、19カ国もあります。

主要な国をいくつか上げてみると、フランス14.6人、イギリス23.7人、イタリア15.7人、ドイツ8.3人となっています。 

日本より少ないのは、アメリカ合衆国の1.7人です。


ただアメリカは元々、州が集まってできた連邦共和制国家です。 

各州はその独立性も高く、強大な自治権も認められていて、州ごとに上院下院州議員が選出されています。

州議員は、日本の都道府県議会議員とはまったく比較できない、国会議員レベルの存在です。 
議員数は州の規模によって数十人~数百人と様々です。

それを考慮すると、連邦下院議員のみの数値であるアメリカ合衆国の1.7人は、あまり参考にならない数字です。

国の歴史や成り立ちを無視して、表面的な数字だけで比較すると、こういうことがあるわけです。


あくまで単純に、人口比率で議員数を他国と比較した結果は、「日本の国会議員の定数は、他国と比べて少ない」というものです。

そう考えると、『国会議員が多すぎる』という意見は、何かと比較して言っている言葉ではなく、『まじめに働け』という思いが生み出した言葉ともいえます。

国会議員の数を減らすと…

国会議員の定数を単純に削減すれば、その分、一国会議員の仕事の負担が増えることになります。 

「国会で居眠りしている議員もいるんだから、少しくらい負担が増えたっていいじゃないか」それもたしかに言えます。

では、国会議員の数が減って負担が重荷になった議員は誰に頼ることになるでしょうか?

官僚です。

その穴埋めを官僚が行う事で、官僚の権限が力を増す可能性がでてきます。 

選挙で選ばれたわけではない官僚が、政治の実権を握ることに対しても、以前から問題が指摘されてきました。

国家の財布のひもを握った最強官庁 “財務省” は、その典型です。


『国会議員の定数削減』は、目的ではありません。

より良い日本(安全、健全、住みやすい)にするために、無駄(歳費)を省く一つの方法として、言われているに過ぎません。

   『参議院は必要か?存在意義について考えてみた

国会議員の歳費

以前、議員さんのお手伝いをさせてもらったことがありますが、国会議員が本当に良い仕事をしようと思ったら、現在の歳費やその他の手当て等で十分な活動ができるか、疑問ではあります。

国会議員の歳費(一般の給与にあたる)は、月額129万4千円です。 

その他に、期末手当(ボーナス)約635万円、文書通信交通滞在費月額100万円、立法事務費月額65円が支給されます。

合計は、およそ4168万円です。


その他にも直接の支給ではありませんが、3人の公設秘書(政策秘書、第一秘書、第二秘書)の給与が国費で賄われ、政党に属していれば政党交付金が支払われます。 

この金額だけ見れば、「こんなに支払われているのか!」と感じるでしょう。仕事をろくにしない議員にとっては、確かにあまりにも高額なものです。

選挙区の活動

ただ例えば、小選挙区で当選した議員であれば、地元に事務所を構え、選挙区民の声を聞き政治に反映させるために、私設の秘書を抱えることは、重要な要素です。

その地元の事務所費や人件費や経費だけでも、年間1000万円前後はかかるでしょう。(例:事務所費10万円+秘書2名給料50万円+事務員給料15万円+経費10万円)

ちなみに私が係わった国会議員は、公設秘書の他に、約10名の秘書や事務員を雇っていました。(平均にならして給料一人当たり20万円としても、年間2400万円です)

そのうちのほとんどは、政策に関してサポートするメンバーではなく、選挙区民対策(次回選挙対策)の要員でした。

もちろん、これだけの人数を雇用する必要はないと思います。

立法府としての国会議員の環境整備

国会議員の仕事は、あくまで立法府として、法律を作ることにあります。 

政策立案や政府立法(内閣提出法案)に対して議論できる人材には、報酬面においてもっと出費する必要があります。 

そうでなければ人材が集まりません。

議員がそのようなチームを作れず、法律案に対して、いつも官僚のレクチャーが入り、丸めこまれたら、官僚のいいように法律ができてしまいます。


繰り返しになりますが、『より良い日本(安全、健全、住みやすい)』をつくるために、国会議員の環境(定数、歳費額など)をどうするかと考えるべきです。 

定数を減らすというならその分、例えば政策秘書を3名増員させるなどして、政策立案チームの充実を図ることが必要です。

優秀であるけれども省益を越えられない官僚と対峙し、国益や民意を考慮して政治をすすめる国会議員が増えていけば、『より良い日本』がつくられるのではないでしょうか。


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