年末が近づくと、毎年『新語・流行語大賞』が発表される季節となります。
『新語・流行語大賞』は、あくまで一企業である自由国民社とユーキャンの企画イベントですが、いつのまにか国民的(?)行事のようになっています。
まず毎年11月初旬に、『新語・流行語大賞』にノミネートされた30語が発表されます。
そしてその後、トップ10と大賞が発表されるという毎年の流れです。
『新語・流行語大賞』は、誰がどんな決め方をしているのでしょうか。
30語ノミネート方法
まず、毎年11月初旬に発表される30語のノミネート方法です。
Wikipediaや他の媒体では、「読者アンケートの結果から編集部によって選出」とあります。
候補となる言葉は『現代用語の基礎知識』(自由国民社・刊)の読者アンケートの結果から編集部によって選出された30語から50語が候補としてノミネート。
ただ、公式サイトには、
『現代用語の基礎知識』収録の用語をベースに、自由国民社および大賞事務局がノミネート語を選出。
としか書かれていません。
それ以上調べようがありませんが、もしかすると過去においてはWikipediaに書かれているように、読者アンケートをおこなっていて、最近はそれをしていないということも考えられます。
いずれにしても自由国民社および大賞事務局が、ノミネート30語を最終的に選出していることに変わりはありません。
ノミネートされた語句に対して、毎年必ず世間から言われるのが「そんな言葉知らない」という声です。
これは世代にもよりますし、流行にどれだけ敏感かという点や、またテレビを見る頻度などで、この手の情報を知る知らないの差が出てきてしまうといえます。
まぁ、「ほとんど知っている」という人の方が、どちらかといえば珍しいかと思います。
いろんな意味で、幅広い分野から30語を選出したということの表れでもあります。
大賞の決定方法と審査員
ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10が発表されるのは12月初旬です。
ノミネート30語は先程書いたように、自由国民社および大賞事務局が選出しました。
では、トップ10と大賞は、どのように選ばれるのでしょうか?
ちなみに、年末同様に注目される『今年の漢字』は、インターネットやハガキなどの投票で、一番多く得票された漢字が選ばれます。
新語・流行語大賞のトップ10と大賞は、選考委員会によって決められます。
選考委員会のメンバーは、以下7名の方々で構成されています。
- 姜尚中(東京大学名誉教授)
- 金田一秀穂(杏林大学教授)
- 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)
- 俵万智(歌人)
- 室井滋(女優・エッセイスト)
- やくみつる(漫画家)
- 大塚陽子(『現代用語の基礎知識』編集長)
この7名が侃々諤々して、今年の『新語・流行語大賞』が決定します。
この選考委員会のメンバーが、新語・流行語大賞を選ぶことに対して、賛否両論があります。
政治色が強すぎ?
例えば、2014年の大賞は『ダメよ~ダメダメ』と『集団的自衛権』でした。
2014年は安全保障法制の整備のため、国会で与野党による激しい攻防があった年です。
結果的には、衆参両院で過半数の議席を有している自公連立政権の意向を反映した安全保障法制が成立しました。
そういった政治状況の中で、『ダメよ~ダメダメ・集団的自衛権』という大賞は、あまりにも選考メンバーの政治的主張が露骨に含まれているだろうとの意見です。
当時の選考委員長だったのは、毎日新聞社出身でジャーナリストの鳥越俊太郎ということもあり、問題視されたのです。
大賞が決定した裏話を、週刊朝日の紙面でやくみつるが漏らしているのが以下のやり取りです。
【週刊朝日 2014年12月26日号】
やくみつる「大賞は『ダメよ~ダメダメ』と『集団的自衛権』でした。なぜアナ雪でなかったのかと質問もあったんです。『ダメよ~』より『ありのままで』のほうが、はるかに世間への影響は大きかったかもしれない。しかし選考委員が顔を見合わせて、「アナ雪見た?」「見てない」と。世間の声を拾い切れていなかったかもしれませんね。」松崎「でも、『ダメよ~』と『集団的自衛権』のカップリングがおもしろかった。」
やくみつる「ふたつの言葉は、見出しで必ず並ぶはずだから、とは考えました。」
完全に世間で話題にされることを狙って、この2語を選んだことがわかります。
また、2015年の大賞は『爆買い』と『トリプルスリー』でした。
この時は『爆買い』には納得した人も多かったようですが、『トリプルスリー』に対しては野球に関心がない人にはまったくピンとこないという評価でした。
いずれにしても、この7人の選考委員会のメンバーが新語・流行語大賞を選ぶので、結果に対する何かしらの反応があるのは自然なことです。
果たして今年はどの言葉が大賞に選ばれるのか、身近な人達と予想し合うのも楽しみ方の一つですね。
2023年新語・流行語大賞
2023年『ユーキャン新語・流行語大賞』が12月1日発表されました。
年間大賞には、38年ぶり2度目の日本一となった阪神タイガースの今季スローガン「アレ(A.R.E.)」が選ばれました。
2015年の大賞『トリプルスリー』を彷彿させる決定のような気もします。
野球に関心がない人は「何で?」という感想を持ちそうです。
その他のトップ10に選ばれたのは以下の新語でした。
- 「新しい学校のリーダーズ/首振りダンス」
- 「OSO18/アーバンベア」
- 「蛙化現象」
- 「生成AI」
- 「地球沸騰化」
- 「ペッパーミル・パフォーマンス」
- 「観る将」
- 「闇バイト」
- 「4年ぶり/声出し応援」
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