ライダイハンはベトナム戦争の時に産み落とされた存在です。
そのベトナム戦争終戦から、もう50年が経とうとしています。
にもかかわらず、ライダイハンの問題が現在取り上げられているのは、果たしてなぜなのでしょうか。
以下、ライダイハン関連のニュースです。
【産経新聞 2019.8.1】
英国の民間団体「ライダイハンのための正義」が、英国人彫刻家のレベッカ・ホーキンスさんによって制作された「ライダイハン像」をロンドンのウエストミンスター地区の公園で一般公開した。
ライダイハンは、ベトナム戦争に派遣された韓国軍兵士が現地の女性に性的暴行などをして生まれた混血児たち。同団体の「国際大使」を務めるジャック・ストロー元英外相は一般公開にあたり「紛争下で性暴力被害者となり生き残られた方々を記念するこの彫刻を見てほしい」とした上で「韓国政府に自国軍が犯した罪を認め、国連の調査を支持する姿勢へと変えさせる役割を果たすことを願う」とコメントしている。
ライダイハンとは?
新聞記事に書いてあるように、ベトナム戦争に参戦した韓国軍兵士の蛮行によって、ライダイハンはこの世に生まれました。
ベトナム語で『ライ』は“混血”を意味し、『ダイハン』は “大韓” すなわち韓国(大韓民国)のことです。
要するに、韓国人男性とベトナム人女性の間に生まれた子供のことです。
ライダイハンが生まれた理由として、Wikipediaにはこうあります。
ベトナム人女性が韓国兵や会社員などと結婚し生まれた子どももいるとされるが、韓国兵による強姦によって生まれた子どもも多数存在し、国際問題となっている。
韓国軍は、制圧した地区の家々から略奪をおこない、若い女性を見つければ手当たり次第に強姦していきました。
その結果、たくさんのライダイハンが生まれたのです。
現在も韓国やベトナム政府による詳細な調査がおこなわれず、ライダイハンのその正確な数字は把握されていません。
もう一度、Wikipediaから引用します。
ライダイハンの正確な数は、依然としてはっきりとは分かっていない。1500人(朝日新聞・1995年5月2日)、2千人(野村進)、500万人(産経新聞)、最小5千人・最大3万人(釜山日報)、7千人、1万人以上(名越二荒之助など)など諸説ある。出産者数だけでもこの人数であり、実際の強姦の被害者数はこの数倍だと考えられている。
500万人(産経新聞)というのは、ちょっと数字が大きすぎる気がしますので、引用間違いの可能性があります。
ベトナム戦争時の韓国軍の戦地での蛮行については、現地調査した北岡俊明・北岡正敏氏の著書「韓国の大量虐殺事件を告発する」があります。
この著書によれば、韓国軍の虐殺事件は、ベトナムの地100ヵ所ちかくでおこなわれ、人数にすると1万人から3万人を虐殺したといいます。
著者が実際にベトナムに飛んで、現地調査をしたのが8日間(10日間渡航)でした。
自費による限られた期間での調査です。
慰霊碑や犠牲者の名前が書かれた墓碑を巡り、現地で被害者家族や生き残りの人達の話を聞いた結果が、上記の数字です。
著書には、墓碑の写真も載っていますので、機会があれば確認してみて下さい。
ライダイハンへの韓国政府の対応
慰安婦問題を捏造してまでも過剰に取り上げ、日本への糾弾を現在進行形でおこなってくる韓国は、ライダイハンに対してはどんな誠意ある対応をしているのでしょうか。
まず基本的に、韓国政府はベトナム戦争での虐殺や強姦などの戦争犯罪を認めていません。
2001年にはこんな出来事がありました。
当時の韓国の金大中大統領が、訪韓していたベトナムのチャン・ドゥック・ルオン主席に、「不本意にベトナム国民に苦痛を与えたことに申し訳ないと考える」と謝罪したのです。
これに反発したのが、朴クネ氏(当時はハンナラ党副総裁)でした。
彼女は「大韓民国がベトナム戦に参戦してベトナム人に苦痛を与えたという大統領の歴史認識は果たして何だろうか。金大統領の言葉通りなら、韓国戦争(朝鮮戦争)の時、我々を助けた16カ国も北朝鮮に謝罪する必要があるのか」と、猛反発しました。
この頃から朴クネ氏は、無茶な物言いをしていたのですね。
ちなみにベトナム戦争当時の大統領は、朴クネ氏の父親・朴正熙大統領(当時)でした。
自分達がされたことに対しては、どんなに誇張したり捏造しても意に介さず、自分達がしたことはすべて頬かむり。
まさにダブルスタンダードの典型をおこなっているのが韓国ともいえます。
ただしここで注目すべきことは、ベトナム政府が韓国に対して虐殺事件の補償も謝罪も求めていないという点です。
日韓関係の問題とは明らかに異なるところです。
ベトナムにとって韓国は、政治・経済・安全保障面での結びつきが現在とても強い国になっています。
昔の問題を掘り起こして、韓国との関係を悪化させる事をベトナム政府が望んでいないのです。
ライダイハン像、なぜ英国で?
今回の報道では、英国の民間団体「ライダイハンのための正義」は、ライダイハンの彫刻を公開し、韓国政府の姿勢を正していきたいという意向をしめしています。
こちらが、その彫刻です。
この像は、その枝が人の体を包み込んで抜け出せなくするベトナム原産の植物、絞め殺しの木(Strangler Fig tree)によって、異なった根に閉じ込められた母親と子どもを現わしています。
ライダイハン問題と直接には関係ないと思われる英国人が、なぜ像まで作って韓国を正そうとしているのでしょか。
考えられるのは、まっすぐな義侠心から活動を始めたというものです。
「こんな蛮行は許せない、なぜライダイハンが不問のままなのか!」
との思いからです。
もう一つ考えられるのは何らかの組織が背後にあって、政治的な意図として反政府運動に拡大していきたいとの考えからです。
ベトナムは現在、社会主義共和制で共産党による一党独裁の国です。
関係している人物を整理してみると、「ライダイハンのための正義」の創立者は、市民運動家のピーター・キャロル氏で、冒頭の記事に出てくるジャック・ストロー元英外相は労働党(中道左派)に所属していた弁護士出身の元(?)国会議員です。
彫刻家のレベッカ・ホーキンス氏は「私はこの像がこの重要な運動の認識を高め、女性と子どもたちに彼らが必要とする正義と決着を与えることを望む」(AFP通信 2019.6.12)と語っています。
公に発信されている「韓国政府に自国軍が犯した罪を認め、国連の調査を支持する姿勢へと変えさせる役割」を目指しているのであれば、日本にとっては歓迎すべきことかと思います。
日本の慰安婦との違い
ここで一つ、注視しなければならないことがあります。
ジャック・ストロー元英外相が「紛争下で性暴力被害者となり生き残られた方々を記念するこの彫刻を見てほしい」と言っている点です。
『紛争下で性暴力被害者』という表現は、韓国が主張している慰安婦のことと結びつけることも可能です。
ベトナム戦争では、ライダイハン問題が生じたけれども、第二世界大戦時には日本軍によって、“性奴隷”にされた少女がいたと、セットで吹聴される心配がなきにしもあらずです。
そういった意味では、ライダイハン問題があるないに関わらず、今後もしっかりと戦前の慰安婦がどういった存在だったか、官邸主導で韓国の嘘を明らかにしていってほしいと思います。
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