創価学会と旧統一教会は具体的にどんな違いがあるのか確認してみる

世間の話題・雑記

安倍元首相が暗殺され、容疑者とされる人物の発言を奈良県警が垂れ流してから、旧統一教会の話題がテレビで放映されないことがありません。

自民党の国会議員と旧統一教会との関係がクローズアップされ、ついに閣僚が辞任するまでに追い込まれ、問題視されています。

ただ、政治と宗教の関係を問題視するのであれば、公明党と創価学会はほぼ一心同体の組織といってもよく、その公明党が政権与党の一員であることの方が、関係性でいえば遥かに大きい問題のはずです。

この機会に、創価学会と旧統一教会の違いについて整理してみましょう。

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仏教とキリスト教の違い

見出しの通り、創価学会と旧統一教会の大きな相違点は、仏教とキリスト教を信仰しているかが第一の大きな違いです。

創価学会

創価学会の紹介動画で短く説明されていますが、創価学会は簡単に言うと「日蓮仏法を信奉する仏教団体」です。

インドで釈迦が仏教を開き、やがて中国経由で日本に伝わってきたことは、誰もが知るところです。

その後、日本では様々な宗派が派生し、鎌倉時代には日蓮が、“法華経”(経典)が最も優れている教えだとして布教を始めました。

これが日蓮宗の始まりです。

その後、日蓮が亡くなった後に弟子である日興上人が、日蓮宗とは別に日蓮正宗を立ち上げます。

その日蓮正宗の信徒団体だった創価学会ですが、巨大化し影響力が増したこともあり、1991年に日蓮正宗から破門され独自の道を歩んでいるというのが現状です。

旧統一教会

旧統一教会の正式名称は、世界基督教統一神霊協会でした。現在は、世界平和統一家庭連合が正式名称です。

昔の名称に “基督教” と入っていることから、キリスト教系の宗教団体であることが理解できます。

ただし、キリスト教系の教会といってもクリスチャンに言わせれば、旧統一教会は “邪教” 以外の何ものでもありません。

なぜなら、旧統一教会の教えでは「イエス様は完全に使命を全うできなかった」と説いているからです。

“聖母” マリアに対しても、旧統一教会は同様の見解を示しています。

イエス様の使命を引き継ぐために、再臨のメシヤとして生まれてきたのが、旧統一教会の教祖である文鮮明氏(故人)だというのです。


今回は、創価学会と旧統一教会の違いを確認するのが目的なので、これ以上教義の詳細については、深掘りはしません。

創価学会と旧統一教会の大きな違いは、仏教とキリスト教を信仰しているという点にあります。

政治との関係

政治と宗教は密接に関係しています。

どんな宗教でも理想の世界を目指して信仰しているわけですから、その実現のために政治(政策)に関わりを持とうとするのは自然なことです。

逆に、エホバの証人のように、全く政治に関わらない宗教の方が珍しいでしょう。

創価学会と公明党

創価学会と公明党が、一蓮托生の組織であることを否定する人はまずいません。

創価学会が政界進出を開始したのは、1955年の東京都議会議員選挙からです。当時の創価学会会長は、二代目の戸田城聖会長でした。

この時代の創価学会は政党に拘りなく、国立戒檀建立のために、賛同する国会議員が過半数をこえることを、目標にしていました。

それが三代目の池田大作会長の時代になってから、創価学会内の文化局政治部を公明政治連盟に変え、新しい局面に入っていきます。

“創価学会と公明党は一体不二” と公言していた創価学会に異変が生じたのは、1969年から1970年にかけてのことでした。

藤原弘達明治大学教授が書いた『創価学会を斬る』が世間に波紋投げかけ、池田大作会長は1970年、「議員の学会役職兼務を認めない」旨の方針を出すにいたります。

これを機に、創価学会と公明党の間に一線が引かれたことになりました。

しかしこれはあくまで形式的な措置であり、その後も創価学会員は選挙を “法戦” と位置付け、信仰をかけて公明党候補者の当選のために戦っています。


2022年11月現在、公明党は衆参両議員合わせて59名の国会議員を擁し、自公連立政権によって政治に多大な影響を及ぼすに至っています。

直近の参議院議員選挙の比例代表(全国)で、公明党は6,181,431票を獲得するほどの組織となっています。

正確な数字はわかりませんが、信徒数でいえぱ創価学会と旧統一教会では、100倍近く創価学会の信徒の方が多いと思われます。

旧統一教会と国際勝共連合

旧統一教会が組織だって政治と関わりを持ち始めたのは、政治団体の国際勝共連合が発足した1968年でした。

政治団体としての国際勝共連合を立ち上げたのは、旧統一教会と同様に文鮮明氏です。

当時、世界中で猛威をふるう共産主義勢力を打倒することを目的に、国際勝共連合は “勝共理論” を武器にして、日本共産党と理論戦を展開しました。

その前面に立って戦ったのは、旧統一教会の信徒達です。

大都市圏の革新系の首長選挙では寝食を忘れるかのように、保守系の立候補者を応援したのも彼ら彼女達でした。

この頃から、安倍元首相の祖父である岸信介元首相と国際勝共連合は、日本共産党という共通の敵と対峙し、同じ保守理念で親交を深めていきます。

その関係の流れが、福田赳夫元首相をはじめとする清和政策研究会(安倍派)の国会議員に引き継がれ、現在に至ります。

以下の映像は、1974年のものです。

テロップには『元首相』とありますが、当時の福田赳夫氏は現職の大蔵大臣で、およそ2年半後に首相に就任しています。

このように堂々と、文鮮明氏を偉大な指導者であると挨拶しています。


1970年代から90年代にかけて、国際勝共連合が特に力を注いだ活動が、スパイ防止法制定でした。

ソビエト連邦や中国共産党の出先機関ともいえる日本の左翼勢力は、この動きに敏感に反応しました。

当時の日本共産党の宮本顕治委員長は、党員に対して檄を飛ばします。

「勝共連合との闘いは重大。
 大衆闘争、イデオロギー、国会、法律の各分野で、
 また被害を受けている勢力が共同して全面的な戦いをしていく必要がある。
 自民党に対しては、“勝共連合と一緒にやれば反撃をくって損だ”
 という状況をつくることが重要。
 勝共連合退治先頭に立つことは、後世の歴史記録される “聖なる戦い” である」
 (赤旗1978年6月8日)

宮本顕治委員長は、国際勝共連合との闘いを “聖戦” と言いきっています。

この思いは、現在の日本共産党の志位和夫委員長にも引き継がれています。

(中央が宮本顕治氏、左は若かりし頃の志位和夫氏)

サンデー毎日で田原総一朗氏と対談し「共産党からすれば統一教会との最終戦争だ」と田原氏にふられた志位和夫委員長は、

「長い闘いだった。彼らが反共の先兵として最初に牙を剥いたのは1978年の京都府知事選だった。2000年の衆院選では膨大な規模の反共・謀略ビラがまかれた。今度は決着つけるまでとことんやりますよ」

と語っています。


現在の公明党が、59名の国会議員を擁し政権与党にいるのに比べれば、旧統一教会の政治的影響力は微々たるものです。

旧統一教会の信徒が、選挙応援や政策提言で地方議員を含めた自民党議員と多少の密接な関係があるくらいでしょう。

   『共産党はなぜ嫌われるのか?

献金問題

献金問題は、宗教団体であれば多かれ少なかれ発生している問題です。

それが近況の電話相談でも明らかになりました。

国が設立した法的トラブル解決の総合案内所である法テラスに、『霊感商法等対応ダイヤル』が開設されました。

その結果は以下の通りです。

『霊感商法等対応ダイヤル』

連日連夜、旧統一教会問題が報道されていたので、相談件数のほとんどが旧統一教会にしぼられると思いきや、意外にそうでもないのです。

全体の相談件数のうち、旧統一教会関連は27%でした。

宗教団体の運営は、献金やお布施によって成り立っています。

信仰心が高い時は気持ち良く献金していても、その気持ちが薄くなってきた時には「何であんな大金を献金してしまったのだろう」となりやすいものです。

これは宗教に限ったことではありません。

趣味や推し活にあれほど熱中していたのに、時が過ぎてしまうと「何であんなことに時間とお金をかけていたんだろう」と思う経験は、大なり小なり誰にでもあるのではないでしょうか。

新興宗教であれば、一定数の離教してしまう信徒は存在します。

その信徒が後々になって、「あの時に献金したのはマインドコントロールされていたからだ」と考えてしまうことも十分ありえます。

創価学会の献金事情

創価学会には、“財務” と呼ばれる独自の献金制度があります。

長年創価学会の会員だった元芸人で、現在は西東京市議会議員の長井秀和氏は、デイリー新潮でこう語っています。

【デイリー新潮 2022.11/16】
「学会側が明言することはありませんが、財務(注・一般的には寄付、お布施のこと)の額はおおむね収入の1割が目安といわれています。
収入が低ければ低いほど、当然、負担は大きくなる。

うちの両親でもすでに総額で数千万円の寄付をしていると思いますよ。
それだけでなく、例えば高額な学会専用の仏壇を3基も購入していて、仏壇関連だけで約2千万円。統一教会の “100万円の壺” なんて安すぎて、多くの学会員はピンとこないんじゃないでしょうか」

デイリー新潮

年に一度の “財務” が、創価学会にとって運営資金のベースになっているということです。

長井家では仏壇を3基購入したそうですが、買い替えをしたのでしょうか、それとも親戚の分を購入してあげたのでしょうか。

一般人の感覚からするとちょっと理解できません。

財務の総額がいくらになるのかはわかりませんが、DIAMOND onlineには以下のように書かれています。

【DIAMOND online 2020.12/15】
財務の総額は、バブル期には数千億円以上とも。ある古参の学会員は、「昭和の最盛期にはおよそ6000億円と学会幹部から聞いたことがある」と打ち明けるが、あながち大風呂敷とも言えない。

1995年11月、学会の資産や税金問題を追及していた自民党の熊代昭彦衆議院議員(当時)が、「創価学会さんは10兆円の資産と毎年2000億円ないし3000億円の特別財務、それが全て無税扱いである」と指摘している。

もちろん、現在、それほどの額は集まらないというのが関係者の一致した見方だが、それでも「平均して年間1500億~2000億円といわれている」(学会に詳しいジャーナリスト)

DIAMOND online

その他にも、祖父の代からの創価学会員家系で、2015年までナンバー2の要職・学会理事長を務めていた正木正明氏を父に持つ正木伸城氏が、聖教新聞の購読に関する暴露話をしています。

【デイリー新潮 2022.11/23】
創価学会は「マイ聖教運動」という活動を大きく展開していた。
これは、機関紙である聖教新聞を一家で1部取るのではなく、1人あたり1部取ることを推奨する運動で、仮に5人世帯の家なら5部購読することになる。

デイリー新潮

家族人数分の新聞を購読するという発想には驚きです。(聖教新聞:月額1,934円)

新聞社が発行部数水増しのために、新聞販売店に新聞部数を押し付ける “押し紙” の存在が指摘されることがあります。(『新聞の押し紙問題は許されるのか?』)

正木伸城氏の指摘する内容は、創価学会における聖教新聞 “世帯版押し紙” といえます。

もちろん、無理やり購入させられているという感覚ではなく、少しでも学会運営に貢献していると思っている信徒もいるでしょうし、逆に「そんなやり方おかしいでしょ」と思っている信徒もいるでしょう。

世帯で複数の部数を購入すれば聖教新聞の売上が上がるのはもちろん、発行部数が水増しされ、広告掲載料金の単価を押し上げる結果につながります。

旧統一教会の献金事情

旧統一教会が創価学会と異なる大きな点が、本部が韓国に存在するという点です。

旧統一教会の場合、すべて韓国本部の指導の下に運営がなされ、日本の信徒による献金の多くが、韓国に送金されていると言われています。

新興宗教にとって教祖の存在は絶対です。

旧統一教会の教祖は韓国人ですので、教祖の基にお金を集めようとするのはある意味自然なことでしょう。

多額の献金を集めてさぞや立派な建物が建っているだろうと、実際に私も旧統一教会の日本本部(渋谷区松濤)を、出かけついでに見に行ったことがあります。

あくまで私の主観ですが「えっ、こんな質素なビルが本部なの」という印象を受けました。

日本の信徒から集められた献金の多くが、韓国に送られているという一つの表れのような気がしました。

旧統一教会では以前、『壺』 や 『印鑑』 が売られ “霊感商法” として社会問題になりました。

しかし、旧統一教会の言い分は、あくまで信徒が独自に行っている商行為としています。

また、信徒が高額献金した見返りに、教会内ではその “恩恵” として『聖本』や『善霊堂』を授かることができるといわれています。

新興宗教の試練

創価学会と旧統一教会のいくつかの違いを確認してみました。

教団の規模からいうと、創価学会と旧統一教会では、象とネズミほどの差があるといっても良いでしょう。

政治や一般社会への影響力においても同様のことがいえます。

とかく新興宗教は世間のバッシングを受けやすいものです。

創価学会もそうでした。

初代の牧口常三郎会長(当時は創価教育学会)は戦前、治安維持法違反で逮捕され獄中死しています。


旧統一教会が今回問題視された点を改善して再生できるのか、それとも信徒が離れ教団の規模がどんどん縮小されていってしまうのか。

宗教としての真価が問われているのでしょう。


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