小林鷹之議員の経歴や政策・主張を確認してみた

政治家

少し前までは無名に近かった小林鷹之議員が、今回一番乗りで自民党総裁選の出馬表明会見を開きました。

【日刊スポーツ 2024.8/19】
「コバホーク」こと自民党の小林鷹之前経済安保相(49)は19日、国会内で記者会見し、岸田文雄首相(67)の不出馬表明に伴う9月の自民党総裁選への出馬を正式に表明した。「私小林鷹之は、来たる自民党総裁選に覚悟を持って出馬することを表明します」と述べた。

小林鷹之議員は衆議院議員当選回数4回で、1974年11月29日生まれの49歳、国会議員としては若手といえます。

第一次岸田内閣では、内閣府特命担当大臣(第二次岸田内閣では経済安全保障担当大臣)として初入閣し注目されました。

一昔前の初入閣基準 “衆院当選5回以上、参院当選3回以上” は現状だいぶ緩くなったとはいえ、衆院当選回数3回(当時)での入閣は抜擢人事でした。

その小林鷹之議員が、今回いきなり自民党総裁を目指すということです。この機会に小林鷹之議員の経歴や政策・主張などを確認してみたいと思います。

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小林鷹之の経歴

小林鷹之議員は、千葉県市川市でサラリーマン家庭の長男として生まれました。

子供の頃からスポーツが大好きだったといい、中高時代はバスケットボール部、大学ではボート部に所属していました。

今でもフリースローの技術は健在です。

2023年には、千葉ジェッツふなばしVS琉球ゴールデンキングスの試合前のオープニングセレモニーで、フリースローを行っています。


一年浪人した後、東京大学教養学部文科一類に入学、4年生の時にはボート部で主将を務めています。

小林鷹之議員の性格の一端を知るのに、大学時代の面白いエピソードがあります。

東大時代の知人として、作家の大宮エリー氏がテレビ番組で語った内容です。

「(自身が)すごく就職に困ってて、どうしたらいいかなって。どんどん落ちるものだから。
でも(小林氏が)『大丈夫だよ。大丈夫だよ』って。なんでそんなに前向きなの?って聞いたら、『ボート部だから』って言って」

政治家に限らず、前向きな姿勢はリーダーには必須の要素です。


1999年4月には、大蔵省(現在の財務省)に入省し、その後、2010年3月に財務省を退官しています。

財務官僚として11年間を勤めあげたことになりますが、そのうち5年間は米国で過ごしています。(ハーバード大学ケネディ行政大学院・在米大使館書記官)

財務省を辞めた理由は、政治家になるためでした。

日本はその当時民主党政権で、小林鷹之議員は財務省の出向でワシントンの大使館で書記官として赴任していました。

米国内から見る日本の政治に危機感を持って、小林鷹之議員は政治家の道を志したのです。

その当時を振り返り、小林鷹之議員はインタビューで以下のように語っています。

政権交代で、当時の総理の発言等で日米関係がおかしくなっていくにもかかわらず、小さな日本という国の中で与野党が内向きな争いしているようにしか見えなかった。
「もっと国際的に存在感を高めることをしないといけない」「少しでも日本の政治を変えたい」という思いが強くなり、自分が政治の世界に挑戦しようと思い、財務省を辞めました。


詳細な経歴は知りたい方は、小林鷹之議員のHPを確認してみて下さい。

小林鷹之急浮上の背景

今回、月刊誌「正論」に小林鷹之議員のインタビュー記事が載り、その後に “次の首相候補” として初めてマスメディアに取り上げられました。

どこまで計画されたことかはわかりませんが、突然候補として名前が上がったことは間違いなく政治的な動きです。

小林鷹之議員は、今まで二階派(志師会)に所属していました。

また経済安全保障の分野では、甘利明前自民党幹事長の元で政策立案を任され信頼関係があります。

急に小林鷹之議員にスポットライトが当たったのは、「二階派の解散に伴い政界引退を表明している二階俊博議員がいなくなることで、二階派に手を突っ込んで弱体化させ、麻生派の勢力拡大の狙いもあるではないか」との見かたをするジャーナリストもいます。

麻生太郎3

いずれにしろ “次の首相” の可能性は薄いにしても、「自民党の若手議員にもこんな人材がいる」と世間アピールするのに、小林鷹之議員は十分な存在です。

小林鷹之の評判

自民党国会議員の間で、小林鷹之議員の評価や評判はどのようなものなのでしょうか。

小林鷹之議員の素顔を本音と嫉妬(?)ベースで語ったネット番組があります。

『ABEMAニュース』です。

衆院同期当選で、既に議員を辞職している宮崎謙介氏と宮沢博行氏が語ったものです。

宮沢氏「まともすぎる。顔が良いでしょ、頭が良いでしょ、背が高い、性格が良い、選挙に強い。“天は五物を与えている”と評する同期もいました」

宮崎氏「もう、パーフェクトヒューマンですよ」「よく飲みに行ったり絡むんですけど、誰かの悪口言うかなと思っても口をすべらさない」「同期119人いたんですけど一匹狼が三人いた。その中の一人が鷹ちゃん」

宮沢氏「たしかに会話で(小林に)ふってもまとも過ぎる返事か、じゃあ宮ちゃんどうなのとふってくるとか、腹を割ったところはないです」「本当に仲間がいるのかというと疑問です」

宮崎氏「(総裁選で押すとしたら)小林鷹之」

なかなか興味深いかつての自民党同期議員の発言です。

  『小泉進次郎議員の学歴「おかしい」とはどういう意味

小林鷹之の政策や主張

小林鷹之議員はどのような政策を掲げ、どんな政治家を目指しているのでしょうか。

総裁選・高市議員支持

2021年の自民党総裁選で小林鷹之議員は、高石早苗議員を支持しました。
また、20名の推薦人の一人にもなっています。

高市早苗議員を支持した理由を、小林鷹之議員は、このように語っています。

「自民党総裁選。高市早苗候補を支援します。出馬会見を含め、様々な発言に触れ、国家ビジョンと政策に共鳴する点が多く、私なりに判断し決断しました。」

『国家ビジョンと政策に共鳴する点が多く』とありますが、詳細については書かれていません。

総裁選で高市早苗議員が掲げた政策の中心は以下となります。


高市早苗が掲げる理念】(以下、抜粋)

◎守り抜きたいものは「国民の生命と財産」「国土と資源」「国家の主権(独立統治権)と名誉」です。それは、国の究極の使命でもあると考えています。

◎時代のニーズに応えられる「新しい日本国憲法」の制定。

◎雇用や社会保障制度の安定性と継続性を確保する為には、「強靭な経済」が必要。
 (財政出動による危機管理・成長投資、インフレ率2%までPB黒字化目標凍結)

◎「行き過ぎた結果平等」を廃し、「機会平等」を保障する制度設計

◎国家の基本である「教育」を立て直す


すべての政策ということではないでしょうが、上記の政策に賛同したことになります。

小林鷹之議員は特に安全保障や経済における対中国政策について、高市早苗議員と多くの課題を共有していたといえます。

経済安全保障

自民党内に新国際秩序創造戦略本部という組織があります。

当時、自民党幹事長に就いた甘利明議員が座長を務め、事務局長は小林鷹之議員が務めていました。新国際秩序創造戦略本部は、岸田首相が政調会長だった時に立ち上げた組織です。

2021年5月には菅政権に対して「経済財政運営と改革の基本方針2021」に向けた提言をおこないました。

そこで提言されていたのが、『経済安全保障一括推進法』です。



新国際秩序創造戦略本部での事務局長としての実績が、岸田内閣で経済安全保障担当大臣として抜擢された理由とみて間違いありません。


新型コロナウイルス対策については、以前こんなツイートをおこなっていました。

「新型コロナ対策については、2類から5類への変更、国産ワクチン・治療薬の開発体制強化、緊急時の司令塔機能強化等のための法整備などについての考え方を申し上げました」


「症状が出た方が適切な医療を受けることが医療の本質。党会議にて2類相当を5類にすべきと何度も申し上げてきた。政府による検討着手とのこと。ようやくかという感もするが、速やかに実行して頂きたい。加えて『PCR陽性者数=感染者数』として対応することも変えていくべき。」

新型コロナウイルス対応においては当たり障りのない事しか言わない政治家が多い中、まっとうな意見を2021年の夏から発信していました。

  『河野太郎にワクチン接種責任が問われている理由

財政政策

気になるのが財政に関する考え方です。

経歴のところでみたように、小林鷹之議員は元財務官僚です。

財務省といえば、この長く続くデフレ化の日本においてもなお、“財政健全化”  “プライマリーバランス黒字化” を喧伝し続ける組織です。

財務省から国会議員になっている議員も多くいて、大半の議員は財務省の代弁者となっています。

過去においては小林鷹之議員も、

『金融緩和や財政出動も時間を稼ぐためのカンフル剤に過ぎません。課題の先送りは許されません』

メールマガジン(2016.3.14)

『財政再建が進まず、この傾向が続けば、将来世代の政策的な選択肢を狭め、様々な可能性を奪うことになります』

討議資料(2015.6)

などの発信をしていて、財務省時代に染みついた考え方から抜け出せていないことは間違いありません。

ただし、上記の発言は8~9年前のものです。


“君子豹変す” という言葉があるように、高市早苗議員からの影響を受けて考え方を変える可能性はあります。トンネルのようなデフレ社会を抜け出せるよう、積極財政に政策転換していってほしいものです。


以上、小林鷹之議員の経歴や政策の一部について、確認してみました。

千葉県2区(習志野市・八千代市など)選出の議員として地の利を生かし、頻繁に地元を訪ね歩いていることが、日々のポストでわかります。

国民の声に耳を傾ける姿勢を持ち続けると共に、国のリーダーとして確かな国家観と歴史観を更に磨きあげていってほしいと思います。

追記・財政政策に変化?

2024年7月の時点で小林鷹之議員の考えに変化が見られたようです。

【夕刊フジ 2024.7/26】
財務省出身者や財務省に近い政治家は、財政健全化を重視することが多い。
小林氏に経済政策の姿勢を聞くと、「『経済は財政に優先する』ことを明確にしておきたい。経済成長は技術力や防衛力を向上させる。それを裏付けに外交力も強まり、国益にかなうルール形成も可能になる。今はブレーキを踏むときではなく、財政出動で民間企業が投資し、国民の所得が増えて消費するといった循環になるようにする必要がある」と語った。

小林鷹之議員が財政政策に対していつ頃考えを改め、また誰によって影響を受けたのかはわかりません。

しかし総理大臣を目指すのであれば、財務省の言うがままの政策を鵜呑みにしているようではいけません。


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