マタハラとは何か?法律違反に気を付けよう ただし“権利の主張”は逆マタハラを生みだす

マタハラ3 法律・行政関連

セクハラ、パワハラ、そしてマタハラと、昭和の時代ではほとんど問題にされなかった事案が、平成の時代には社会問題化しました。

それ以前は、会社で理不尽なことをされても、泣き寝入りしてきたのが実態でした。
これは、時代の進化と言っても良いでしょう。

今回はその中の “マタハラ” について、調べてみたいと思います。

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マタハラとは?

マタハラは、『マタニティ ハラスメント』の略称です。

簡単にいえば、“働く女性が職場において、妊娠・出産・育児を機に、精神的・肉体的・実質的嫌がらせを受ける行為”を、マタハラといいます。

『マタニティーハラスメント』は、いわゆる和製英語です。


2014年、毎年行われているユーキャン企画の新語・流行語大賞で、マタハラは大賞を逃しましたが、トップ10入りを果たしました。 

受賞年数を考えると、マタハラという言葉が注目されるようになってから、まだ数年しかたっていないことがわかります。

流行語大賞トップ10で表彰されたのは、立教大学社会福祉研究所の杉浦浩美研究員です。 

杉浦浩美研究員は2000年以降、マタニティハラスメントに関する研究を開始しました。2009年には、「働く女性とマタニティハラスメント」という書籍をだしています。

2013年5月に日本労働組合総連合会が実施した「マタニティ・ハラスメントに関する意識調査」で、にわかにマタハラという言葉が、社会的に知られるようになったのです。

職場でのマタハラ

職場において、妊婦に対するあからさまな降格や退職の強要があれば、企業自体が法の裁きを受けます。 

実際、露骨な配置換えや解雇されるなどしたら、受けた当人が裁判に訴えて戦いやすいです。

ところが、言葉やちょっとした態度による嫌がらせの場合は、マタハラ認定しにくく、どこにでもある人間関係の問題と受け取られかねません。

また、上司に「(産休や育休を)申請されたら、断れないよね」などと嫌みを言われたり、「採用前に、(産休育休は)うちは難しいって言ったんだけどなぁ」と迷惑がられたりという話もあります。

更に、先輩の女性が産休育休問題で苦労する姿を見た後輩の女性達は、マタハラを受けたくないと、結婚や妊娠を控えるようになるという負の連鎖もあるようです。

マタハラの是正

女性社員が妊娠したことで、退職や降格・減給など、具体的に職場で不利益を被る結果が問題となり、現在は官民がその是正に向け、様々な取組みを行っています。

実際、『寿退社』という言葉があるように、昭和の時代から平成にかけては “女性は結婚したら会社を辞める” のが、当たり前という風潮がありました。

マタハラ3

今そんなことを言ったら、ある意味『化石』扱いされるかもしれません。

ただ、政府がマタハラの防止措置に力を入れているという事は、まだまだ現場において、マタハラが横行しているからともいえます。

厚生労働省の取組み

厚生労働省では、『STOP!マタハラ』をスローガンとして、女性向けリーフレットと事業者向けリーフレットを作成して、マタハラをなくすための啓蒙につとめています。

マタハラ行為は、法律的には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に触れることになります。 

現代社会においてマタハラは、妊婦に対するただの嫌がらせではなく、れっきとした法律違反だということです。

男女雇用機会均等法違反

マタハラが、何の法律違反になるかというと、一つは男女雇用機会均等法です。
正式名称は、『雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律』です。

男女雇用機会均等法の第9条第3項には、

「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、~ 理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」

男女雇用機会均等法

とあります。

例えば、「妊娠したから、辞めてもらうしかないね」などの発言をし実行すれば、完全に法律に反することになってしまいます。

妊娠したことを会社では認めても、上司や同僚からの冷たい視線・対応、嫌がらせを受けることが、実際にはあるようです。

育児・介護休業法違反

こちらも正式名称は長いです。
『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』

第10条には、こうあります。

「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」

育児・介護休業法

もし、「育児休業を取るんだったら、降格する覚悟でね」などと言ったら、やはりアウトです。

一昔前であれば、弱い立場の従業員側は、泣き寝入りせざるを得ませんでした。

まさに時代の要請を受けて、こういった法律の整備がされてきているわけです。

忘れていけないのは、法律ができる前までは、悔しい思いや、理不尽な対応を甘んじて受けなければならなかった女性達がいたことです。

ここは素直に、時代的恩恵に感謝しなければならないと思います。

マタハラ相談件数

下のグラフは、マタハラの相談件数の推移をあらわしています。

2015年度には、前年より相談件数が19%増えて、相談件数4269件になっています。

これはマタハラの件数が増えたというよりは、厚生労働省の宣伝により、今まで声に出せなかった、いわゆる泣き寝入りしていた人達が、勇気を出して告発を始めたからではないでしょうか。

厚生労働省では、マタハラが悪質な企業に対して、是正勧告に従わないようであれば、実名を公表するように労働局に指示する徹底ぶりです。

逆マタハラとは?

マタハラに対して、『逆マタハラ』という言葉もあるようです。
『逆マタハラ』とは、どういう意味なのでしょうか?

逆マタハラとは、妊婦となった人が、妊婦としての権限を当然のこととしてそれを利用し、周りの人への気遣いをせず、精神的にも仕事量的にも周りの人に、負担をかける行為のことです。

権利ばかり主張するわがまま妊婦に対して、同僚達が、「逆マタハラだ」と感じるわけです。


会社の大小を問わず、一人の欠員がでれば、誰かがそれを補わなくてはなりません。その負担は会社なり、上司や同僚がうめてくれます。

その際に、もし当事者が「妊婦の権利」だけをふりかざしたら、どうなるでしょうか?

そこに生まれるのは、新しい生命の誕生に対する祝福の思いよりも、怒りや不満、敵がい心といったものになってしまいます。

権利の主張 < 感謝の思い

国の大きな課題として、少子化問題があります。

国民が、子供を産み育てやすい環境を少しでも向上させようと、政府は法律を整備して対応しています。

会社でも産休・育休などの子育て支援制度が充実してきているので、それを利用する社員も益々増加しています。

これは、妊娠・出産という事に限ったことではありませんが、結局、「権利!」「権利!」とばかりに、「私がその制度を利用して何が悪いの」という態度では、和を尊ぶ日本社会の中で、嫌われる対象になってしまいます。

権利を行使する上での感謝の思いや、負担をかける相手への思いやりの心を忘れなければ、自然と日頃の言動にあらわれます。

「子供を安心して産み育てられる社会」の法整備や仕組みをつくることや、「そういう社会(国)で生きられる私」という立場に感謝できる個人が増えていけば、マタハラや逆マタハラという言葉もやがて消えていくでしょう。


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