韓国大統領の弾劾とはどういう意味か? 文在寅大統領の弾劾可能性と歴代の弾劾訴追を確認

文在寅2 政治・経済関連

中国武漢市から発症した新型コロナウイルス(COVID-19)の勢いが、韓国に波及しています。

ソウル聯合ニュースによれば、韓国の中央防疫対策本部が、2月29日午前に発表したトータルの感染者数は、2931人で、死者数は16人です。

この状況下で、韓国国民の批判が、文在寅大統領へ向かっているという報道があります。

【夕刊フジ 2020.2.28】
新型コロナウイルス感染拡大の勢いが止まらない韓国で、初動対応に批判が相次ぐ文在寅大統領の弾劾を求める請願活動も勢いを増している。

青瓦台(大統領府)がサイト上で受け付ける国民請願は28日午前8時半時点、120万人以上の賛同が寄せられた。

記事には、国民が大統領の弾劾を求めるとありますが、弾劾とはどういうことなのでしょうか。

日本ではあまり聞かない言葉です。

韓国ではたしか、前大統領の朴クネ氏が弾劾され、大統領の職を失いました。

文在寅大統領が、大統領に就任したのは、2017年5月10日です。

韓国の大統領の任期は1期5年ですので、通常であれば、任期満了は2022年5月9日までとなります。

はたして、文在寅大統領が弾劾される可能性はあるのでしょうか。
大統領の弾劾にはどのような手続きが必要かなども含めて、調べてみたいと思います。

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弾劾とは?

弾劾とは、どういう意味でしょうか?

<ブリタニカ国際大百科事典>
行政部の高官や特別の身分保障を受ける裁判官などの公務員が、重大な法律上の義務違反や反社会的な行為を犯したとき、議会がこれを訴追し、処罰する制度。

韓国の場合、大韓民国憲法65条に、以下のように記載されています。

< 第65条>
大統領、国務総理、国務委員、行政各部の長、憲法裁判所裁判官、裁判官、中央選挙管理委員会委員、監査院長、監査委員その他法律が定めた公務員がその職務執行において憲法または法律に違背する時には国会は弾劾の訴追を議決することができる。

第一項の弾劾訴追は国会在籍議員3分の1以上の発議がなければならず、その議決は国会在籍議員過半数の賛成がなければならない。但し、大統領に対する弾劾訴追は国会在籍議員過半数の発議と国会在籍議員3分の2以上の賛成がなければならない。

弾劾訴追の議決を受けた者は弾劾審判がある時までその権限行使が停止される。
弾劾決定は公職から罷免されることに尽きて終わる。しかし、これによって民事上または刑事上の責任が免除されるものではない。

まず、国会議員によって提出された大統領弾劾訴追案が、議会で可決されることで、大統領の権限が停止されます。

その後、裁判所で弾劾審判され、大統領の処遇が決まります。

    『韓国の文在寅大統領の支持率は?

朴クネ前大統領の弾劾を振返る

朴クネ氏が大統領に就任したのは、2013年2月25日のことでした。

その就任からおよそ3年9カ月後、2016年12月2日に、朴クネ大統領(当時)に対する弾劾訴追案が、国会に提出されます。

弾劾訴追された主な理由は、『親友である民間人の崔順実氏を国政に関与させた憲法違反』や『旅客船セウォル号沈没事故への対応の不備』『機密文書を外部に流出させたこと』などが上げられました。

一週間後の12月9日には採決がおこなわれ、賛成が可決に必要な3分の2を超えて、朴クネ大統領の弾劾訴追案は可決されました。

可決されたことで、大統領の職務が停止をされます。

その後、憲法裁判所にて審議された結果、裁判官全員一致で、大統領罷免を認める判断が下されました。

韓国が民主化されて以降、大統領の罷免は初めてのことでした。

盧武鉉大統領の弾劾訴追

過去においては、盧武鉉大統領(当時)も弾劾訴追され、国会での可決により大統領職務を停止されたことがあります。

2004年のことです。

ただ、当時の国民の支持は盧武鉉大統領にあり、その年の総選挙で与党・ウリ党(当時)が過半数をこえる議席を獲得しました。

そのような世論を背景にして、憲法裁判所では弾劾訴追を棄却し、盧武鉉は大統領職に復職することができました。

文在寅大統領の弾劾の可能性は?

では、現在の文在寅大統領に対して、弾劾はあり得るのでしょうか?

「弾劾とは」のところで書いたように、弾劾訴追案は、国会議員の3分の2以上の賛成がないと、可決されません。

韓国の政権与党である“共に民主党”は、国会議員300議席のうち、128議席をしめています。

通常この議席数があれば、弾劾訴追案が可決することはありえません。

では、朴クネ前大統領の時の議会構成はどうだったのでしょうか。

当時の与党セヌリ党は、128の議席数でした。単純に考えて、セヌリ党128人が弾劾訴追案に反対すれば、否決することができたのです。

ところが、セヌリ党の議員62人が賛成にまわってしまいます。

セヌリ党内の反主流派は、およそ80%の韓国国民が朴クネ大統領の弾劾に賛成していることを考慮して、弾劾訴追案に賛成したのです。

それによって、朴クネ大統領の弾劾訴追案は可決してしまいました。


前回の弾劾の流れを考えると、韓国国民による、文在寅大統領弾劾を求める請願活動が大きくなることは、文在寅大統領にとってはかなりプレッシャーになっているはずです。

文在寅大統領弾劾

更にポイントとなるのは、韓国で2020年4月15日におこなわれれる国会議員選挙です。

この選挙で、共に民主党が議席を大幅に減らし、文在寅大統領への不満が更に広がっているようなら、弾劾訴追案提出の可能性が出てきます。

文在寅大統領の支持率急落で、共に民主党の反主流派からも見はなされ、野党が提出した弾劾訴追案が可決することも、4月の選挙結果次第でまったくないとは言い切れません。


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